第92章 新たな神武(しんぶ)
癌一同へ向けて叫んだ……
全ての霊たちが…
それによって殺された者たちが…
その心に、『人を見、痛む心』に…想像する心に…寄り添う心に…大事にする想いに…
寄り添い、大事そうに、労わるように、包み込んだ
中身とは――『心』だ
人を重んじ、思い遣り、寄り添い…在ろうとする
心だ
それこそが、人を生かすんだ…
だから大事なんだ
人を大事にする根幹だから
大事にする上で、欠かせないことだから!
ケイト『大事にしてくれる人も大事にしないで
人に大事にされたいなんて求めてくんな!
強欲者おおお!!』
無念を――
痛みを、叫びを、晴らす為に―――
訴え掛けるという手を択んだ
自らの想い、激情、感情や衝動のままに殺すという選択では無く
それと同じ存在なのではないと
衝動のままにやりたい放題にし、
人助けと称して尻拭いも罪も罰も何もかもを人に着せて回り、
笑って「『自らを大事に想い、悪いこととさせない為に必死になる、大事にしてくれる人々』を見殺しにして」、口封じも兼ねて殺した上で『恩人』の危機的状況を見ず守らず罪悪感も抱かず、何事も無かったかのように笑って接して回る
今後も俺の為に動き続けろよ、俺はお前の為に動かないけどな、と――
寄生先を巧妙に増やして利用と搾取のみで返し続けながらもそれを決して悟られないよう立ち回る詐欺師に―――
上辺だけ善人に――――
口だけ感謝の恩送り、恩人が自分を大事にしてくれる行為を当然とする恩返し皆無の悪者(癌)に―――――
癌一同は皆、同じ罪を抱えている…
1000垓人もの魂を手に掛け、無限の世界も全てを死に追い遣り、殺し、消し、
その上で裁かれる前に自らの手で自らも悪人と認識する前に消し、人にさせる前に消して記憶に残らないようにした
それをも大事にし、守ろうとしてくれた、自らの親でもある『創世神の親』を手に掛けて殺し、消滅せしめた
そして――それを犯していながら…悪い人だと思われたくない、自分に都合よく捉えて欲しい…そう願った
それは「罪の分化」へと繋がり、「呪い」という事象、「癌化」という変異を齎す、全てに掛ける存在へと成った――
たとえ罪を切り分けて植え付けることで数を増やし、『罪人ではない存在』を罪人にしたとして、それは原初の始祖神の『守り』と『神の因子』の合わせ技で浄化出来る
