第15章 人造迷宮
三日三晩の時間が流れた後、ようやく全てを倒しはした。
だが…彼は彼の地に倒れ伏した。血を流し過ぎたのだ。
いくら傷を癒そうとも、失った血は決して戻らない。
彼を助ける為、それを頼んだ精霊は彼の死を憂い…その身を捧げた。
世界で最初の精霊寵愛の顕現者となった。
いくら傷を負おうとも、毒を盛られようとも、瞬く間に受け付けない体となったのだ。
時間はかかったが、彼は完治して目覚めた。
その後…精霊と共に、人間達と共に暮らしていくことを決めた彼は、彼の地に魔法をかけた。
クリエイトで結界魔法を作り、そこに近付くモンスター全てをその地下へと封じ込めるというものを。
「ここに新しい街を作ろう!!」彼はそう叫んだ。
そして森の傍を切り拓き、丘に咲く花には手を出さず、山から岩を出し、街を人間と精霊達と共に築き上げた。
安寧の地となったそこに街を作り、共に暮らし、平安に過ごしたという。
そして精霊は彼をこう呼んだ。勇者アルルェーチェと――
ティオネ「……これで終わりですか?」
フィン「まだ少しだけ続きがある。
彼は、人間の中である女性に恋をした。種族は小人族」
『!!』
フィン「そして、あるお守りが妻となった彼女に託された。
外見的に『金でできた十字架のネックレス』を」
ティオネ「!!それって…」
フィン「ああ。今ケイトのしているネックレスだ」
ケイト「どうしよう…宿っていた力使っちゃった;」ガーン!!
フィン「それでこそ本望だろう。役割を果たせたというわけだ(くす)
それは彼女を傷付ける如何なるものも弾く、最大の護りだった。
今でこそ効力は弱まり、その範囲はネックレスだけに留められているとロキは言っていた。
心臓だけは護れるだろうと踏んで付けているだろうともね」
ケイト「それだけじゃないよ…これから感じるのは…とても純粋で、清らかな想いだった。
愛と共に、彼女の安寧を願って…これを送っていたのが感じ取れたから//」
両目を瞑って笑みを浮かべる彼女に、僕は笑って頷いた。