第87章 神化(しんか)
創世神の親『このままじゃ…全てが消えて無くなってしまう!!
(ばっ!!)
この子さえ生きていれば…終わりじゃない
この子に…未来を託す!!』ごおっ!!
魂を生み出し、即座に内に押し込んで覆い被さり、全ての力を送った
凄まじい力(光)の奔流が雪崩れ込んでゆく
全て一つの魂、創世神の中へと――
1000垓の全魂と無限の全世界を消した癌の闇を、
無防備となった魂で、身で受け止め、創世神を命懸けで守った
癌に決して染まらず、癌に決してならない
生み出す際そう条件を付けた結果…あまりに一瞬のことで創世神の親は気付かなかった
己の次世代であること等、知る由も無かった
光が晴れて、目を開けると…
創世神『……』光が緩みようやっと目を開ける
パキン
創世神『!!』瞠目
音がする方に目を向けると
創世神の親は傍らで散り散りに、今にも消えそうな残骸となっていた
パリパリ
パキパキ
軋むような音と共に粉々になって、散り散りになった欠片が
消えて行く
光となって溶けて消えて行く
創世神『――っ
ぁっ
っ!!(わなわな)
っ!←涙が目尻を伝って落ちてゆく
うああああああああああああああああああああ!!!!』
喉笛から慟哭が爆ぜた
自分達に何が起きたのかわからず、消え行く亡骸を抱いて咽び泣き続けることしか出来なかった
創世神の親の今にも消えてしまいそうな体を…崩れ落ちそうな魂の欠片を―――大事そうに胸に抱えながら
その折…笑い声が響き渡った
1億人目の癌『はっはっはっはっはっはっはっはっ!!!』
創世神『!!!』瞠目
聞いた直後、直感した
本能的に悟った
こいつが…全ての元凶(主犯)だと……
こんなものの為に―――創世神の親が、自分達以外の全てが消滅したのだと
怒りに身を任せ…癌の遺した闇を全て消そうとした矢先、声がした
創世神の親『繰り返すな』
崩れ落ちる間際…
放たれた言葉……
その中身を、心を、受け取った
光と共に、創世神の中に創世神の親の心が入ってきた
どこまでも慈しみ…大事に守ろうとする、温かな想いを――
たとえ魂が滅ぼうとも想いは死なない…お前を必ず守ると
溢れ出す涙が止まり、立ちあがり、願った
創世神『どんな存在でも消えて欲しくはない』
たったひとり…癌の闇以外何もない空間で呟いた