第83章 剪定
ケイト「でも…
俺が生きてるせいで、癌が実在化出来てしまう
それに依って…何人も…人が死ぬ
何人も…一方的に、消える、死ぬ……
俺は……
死んでいた方がいい人間じゃないのか?
更生の機会をいくら与える為とは言っても
消える人を減らす為って役目を、果たせていても……
どうしても…そうは、思えないんだ
生きていていいとは……思えないんだよ
俺が…生きていない方が、早い内に消える
消えるものも、染まりやすいものも、更生の余地なんて与えずに、その人達だけ消えて、それだけで済むはずだったんだ
それなのに長引かせても、徒に被害が増えるだけだ
それが…俺には、痛いんだ
………‥痛いんだよ」
俯いたまま肩を落とす
静かに暗闇の中で声が響く
沈んだ心の内を示すかのように…
ケイト「俺は…………
俺は………
消えていた方がいい人間だ」
きっぱりと
はっきりとそう断言した
ケイト「消える人は、そりゃ増えるよ…でも
でも………マシだよ…早い内に消えた方が
これ以上、癌に好き勝手されるよりは
それで、誰も彼もが癌に染まっていくよりは
次々に魂の外殻が潰えて、消えて行くよりは
俺…
ずっと…何で、自分を実在化出来ないように、自分の外殻を自分でぶち壊すんだろうって
何で、人にそれをさせるんだろうって…どうして、それを正しいって頑ななんだろうって…ずっと思ってた
助けなきゃって思ってた…自分で自分殴ってたあの頃の自分がよぎったから
自分で自分を消す病気で、自分で全部を消す病気で、なら…何とかしなきゃって思った、ただただ必死だった
でも……
でも…
もう――疲れたよ
これ以上…助けたいだなんて想いたくない
そんな人間の為に実在化の力なんて使いたくない
人を消させるよう唆して回る悪童の肩ばかり持つ人ばかり、何で救わなきゃならないんだって
どうして…俺が、犠牲にならなきゃいけないんだって‥…
実在化の為に…そんな人にまで……(拳握り震え)
人を人とも思わない、見向きもしない、そんな人の為に…
どうして、って(声詰まらせ涙)
どうしたって…幸せになんて、幸せになんか、なれる訳ないよっっ
俺なんか………‥(悲嘆な顔で目震え涙目)
俺なんか……っ(頬伝う涙)
産まれなければよかった」項垂れ