第82章 光芒(こうぼう)
檻の方へ向けて歩を進めていた…
だが…
そこにあったのは行き止まりだった
光芒――
光と同化して通り抜けてみる
すると…そこにあったのは
闇だった――それも、精巧に作られたかのように、全く正反対のもの(術式)だった
術式が訴え掛けていた…
『どんな状況でも、希望(光)を見失わない心』だと
それが『光芒』
つまり…それが………
フィン「『滅神の…心』?」
すっ
引き寄せられる感覚のままに、手を伸ばした
すると…
ずっ!!
フィン「!!」
一瞬で全身にツタのように絡み付き、取り込もうとされた
その先程の問いに答えるように、光が音も無く頷き…それを取り込んで光とした
意図的に作られた術式のようだったが…滅神が乗り移ったせいか、体への反動がキツイ
なるほど…こんな感覚か、自分であって自分でない感覚とは……
触れると同時に闇のみが掻き消え…光として構築されていくのをまざまざと見入る(見せ付けられるしか出来ない)中…突如として轟音が響き渡った
動いたようだね…状況が
そうこう考えている間に、術式が完全に完成した
光と闇が重なり合い、同じ術式が折り重なって光へと循環し、絶え間ない無数の重なり合いと共に強化が蔓延り蔓延する
これだけでどんな闇の術式も祓えそうだ
そんな印象を受ける中…光もまた頷いた、僕に宿った、いや…一時的にではあるが僕に憑依した滅神と共に
それから程なくして…異空間結界が消えた
闇と光とで分かたれていた、テラン国内に新たに作られたそれが、境界線が消えた
と同時に恩恵が戻ってくる感覚がした
だが…それを使う気は無いので、オフにしたままにしておく
今後…似たような手段を取ってくる敵が居ないとも限らない
なら…それに頼るのは、もうやめようとも思う
第一…一番大事なものは、僕の中にある
心、いや、魂の中に…
僕という、霊体という経験と共にね――
だから…もう、頼るのはやめだ――ひとりの、ひとつの魂として…あいつを討つ!!!
話はそれからだ
そうして…生きて行こう
ひとつの魂として、共に生きて行こう…君(ケイト)の隣で
次期始祖神でも、そうでなくなっても構わない…君がいい、君は変わらず…僕の一番だから
たとえ――何になるとしても、どう変わって行くとしても、共に居たい