第82章 光芒(こうぼう)
ケイト「どんなに大事にしたって、どんなに大事に想ったって、どんなに頑張ったって…
全く大事にされないって、動かれないって、無いものとされるって、ひでぇよ…(涙目震え)
そんなの、やだよっ←今にも溢れ出そうになる
そう歪められるのは…死ぬよりも痛い!」双眸から止め処なく涙が零れ落ちていく←当時の情景が浮かぶ
そう言って憚らなかった
その想いを同じくする所は、言わずもがなで…
アイズ達も、フレイヤ達も、アイシャ達も、殺されたアイシャ達の家族も、ルアンも、きちんと見てくれる、大事にしてくれるケイトがいい、と、死んだ後でもその想いを大事にしようとしてくれるから、と……
選ぶに至った
そのお陰で…消滅するはずだった定めから抜け出せた――僕達だけは
つまり――ケイトに課せられた使命は…癌の延命
に加え…
癌をあわよくば救い、『癌に洗脳(毒)されて癌になる所を助け出せ』といった所なのかもしれない
そういった意味合いでは、僕等の…
いや、←瞑目し微笑する
世界の恩人だとも言える存在だと感じている
あのままでは…この世界は、癌の世界になって消える所だったのだから……
大事にされている側の人間が、大事にしてくれる側の人間を見ず、無いものとする
そんな歪める行為はあってはならない、してはならない
人として当然のようにも見えるが、非常に難しい…癌にとっては
人よりも自分だからね、あれが見ているのは…
だから寄り添わない…気付けない、気付けても言われるまではわからない
人も自分も大事に出来れば、それが一番理想なのだけれど…
偏るのもまた人間の常…
なるべく、寄り添えるだけでも寄り添おうとする形を取れたらと、そう願うばかりだった……
ケイトから教わった…大切な宝物たち
そのお陰で、辿り着けた大事な答え…
大事にしてくれる者達と向き合い、それ以外の者達もまた、大事にするということの重要さ
どんな状況下に立たされることになろうとも、決して巻き込まず、脅かさないように、害さないように、と、頑なに配慮する心構え
その全てを持って…悪を討ちたい!!
そう、強く願った時…←決意を込めて右拳を握り胸に手を当てる
突如、変化が現われた
否――訪れた
一陣の光となって、僕の右手元に飛び込んできた
ひとつの術式となって――