第82章 光芒(こうぼう)
数え年で正能様は16、蓮は14の時のことだった
今で言う、15歳と13歳だ
それからすぐ、婚姻を結んだ
二度と――取られぬように、と
私の方の親戚が一人も居ない中、心苦しく思っていると――
大丈夫だ――私が居る
そう、微笑をたたえて、心を強く持つように促す正能様に
――はい
瞠目し、落ち着いてから…笑みを浮かべた
この方の隣に居ることが、心強かった…何よりも……
あの当時の告白が…好きだという想いが……何を捨ててでも、共に在ろうとしてくれた心遣いが――←4335ページ参照
出てからすぐの場所でやり取りを交わし、
その想いを、嘘偽りない言葉を受けて…
慟哭した後―
「駄馬の代わりに手に入れた私が
そんなに大事ですか」と聞くと
「ああ
何者にも代え難い、大事な存在だ」
即答して下さった
その時から決めたのです
この方の力になろうと、絶えず支えとなろうと
私に――そうして下さったように
フィン「今度は――僕の番だ!!(きっ!!))
必ず守る!!!」
蓮「ええ!!!」
僕の中にいる蓮もまた強く息巻いていた
武家の身分を捨ててでも共にあろうとしてくれた
責任を感じぬように、と当時の様子を伝えるのを触りだけに留めてくれた←4335ページ参照
苦労の絶えなかった中で、自然と気遣いが出来る人だった
そこが、そここそが大事なのだと――何度も教わった
教えられた
全てを捨ててでも一緒になろうとしてくれた
その献身こそが、大事なのだと
愛してくれたことが、最大の誉れなのだと
愛することで、守ることで返したいと、強く願った
その時になって、想った
癌とは、一番を履き違えたものだと…
一番は、「自分の願い」ではない
一番は、『どんなに大事にされなくても自分を大事にしようとしてくれる、掛け替えのない『大事な人達』』だ
そこを履き違えれば堕落し、破滅する
何より最優先すべきは『大事な人達』
『「大事な人達へ振り掛かる負担や命の危険」を減らすこと、繰り返さないこと』だ
「それ」を自ら増やしていることにも気付けない
そんな酷いことをしても、酷いことをしたと思えない
それが癌だと
そこを違えるから――自ら手前勝手になって、破滅する
認識を違えていることにも、減らせてもいないことにも、気付けない内に――