第82章 光芒(こうぼう)
男「起きたな
あの地獄をよく耐え抜いた
褒美として、良質の食事を与えてやる
食べさせてやる
今から無重力にするが…動くなよ?」
ケイト「……
っ(瞑目)
はい…」ぽつり震
男「よろしい、ふっ」にやり
鳩尾の壁への連結はそのままに、
ベッドに腰掛けれるようベッドが下へ降ろされて、
三角座りにさせられ、太腿と手錠の枷同士が連結され微動だに出来ないよう固定された
男「食え…」
ケイト「っ」
男「安心しろ、毒は入ってはいない」
ケイト「……」震
ぱくっ
ケイト「!!//」瞠目キラキラ
おいしい!!
夢中になって食べる中…その横で、満足気に笑いながら男は続けた
男「一つ…昔話をしてやる
何…そう長い話にはならん」
懐中時計を取り出し、写真を見やる
妻と娘、自らも写った写真を…
ケイト「!」瞬きし写真を凝視
男「昔々…ある所に、腕に自信のある若者がいた
彼は強かった…
向かう所敵なしだった
一つの大きな組織があると聞き、
悪事を執り行っているから止めて欲しいと頼まれ、
その頼みを受けて、彼は単身で一人赴いた
だが…それは罠だった――
待ち受けていた望陀の敵、彼は為す術も無く…
捕らえられ、首輪を嵌められ、
額に刻まれかけた紋様を、右掌で辛うじて防ぎ、刻まれ、
妻と娘を、人質に取られた
強いが故に、下っ端として使い潰された…
だが……組織は、約束を違えた
妻と娘を…凌辱させ、まわし、精神が崩壊し、死に至らしめた
目の前で磔にされ、全身が引きちぎれても構わんと飛び出す彼を、組織は総出で押さえ込み、
押さえ込まれた彼は、それでも黙って見ているしかない…
首輪の機能を、その時になって教えられた
お前の思惑等、全て筒抜けだぞ、と…!(ぎぎぎっ!!)←強く拳を握り重ねる
残った亡骸を返され、逆らうなと言い聞かされ…
組織に逆らえばこうなる
刻まれた紋様が、それを許さない
そう、知らしめられた
お前の額、私の右手に刻まれた紋様の機能だ…
組織に不利なことをすれば反応し、通達される
全てだ」
ケイト「!!」瞠目愕然
男「脳に強制的に命令波を送り、実行させる機能も併せ持つ」
ケイト「…!!
(じゃあ…あの時、動き辛かったのは!」
脳裏に、枕元に腕を伸ばすだけで、かなりの抵抗力があったことが蘇った