第80章 願い
『鎧袖一触(がいしゅういっしょく)』とは…
鎧の袖でちょっと触れたぐらいの簡単さで敵を負かすこと
「相手を簡単に打ち負かす」「圧倒的な力の差がある」
転じて…「他の追随を許さない独走状態」を意味する
それを極めた、といった時点で意味の深さもわかるだろう…
で…
軽く、付き合ってもらったが…触れただけで力が霧散し消え去った
ジェット・バーストなんて比ではない程の力が触れた瞬間に発され、害や脅かすものならば消滅を齎していた(状態異常でも同様に…)
要するに――――
無敵だ
ごくり
思わず唾を飲み込む中…
ケイト「?どしたの?」
きょとんとした表情で、首を傾げてこられた
どうやら…事の大きさを理解していないらしい…
いや、理解する気が無いとでも言うべきか…;
ケイトらしいね…;(瞑目し苦笑する)
そのまま、晩御飯を相伴に与ることになった
選定者としての人格の目覚め…
否
剪定者としての人格、主軸が完全に目覚めた
その弊害として挙げられるのが…
癌に対して目の仇にする行為だ
たとえ誰に何と言われようとも…
癌を剪定する立場にあるから
氷河の心もまた、持ち合わせるようにしている
ケイト「癌は、自分の願い(理想)の為だけに全てを消す存在だから
大事に想ってくれる人
そうでない人
それらの線引きぐらいはしておかないとな」
淡々と、堂々と呟くぐらいに、
『減らす努力の重要さ』に重きを置いている
それは神民達も全員同じだった
だからこそ…神国内では異論無くいけた
だが…風土が違う他国では、重きを置く所はまた異なるだろう
そこもまた踏まえて…気にしないことにした
他国民にまでは求める気は無い、とのこと
だが…
ケイト「粗末に扱う行為、その範囲も深度も深めて増やし続ける愚行は、許さん態度を取りたい
私は、私の心に嘘は付けない…もう…感情にも」
それに大いにぶちまけたらいい、と賛同した
感情を抱くまでは自由だ、それを発するのも…
問題なのは…願い(理想)(感情)を満たす為だけに、「不要なものを巻き込み、認識を違え、繰り返すこと」にある
だから「捨て置くしかない「癌」」に至る…
そうならないのは明白…癌を剪定する、自らの意思一つで実在しない世界に出来るのだから