第80章 願い
「「そう決めて…産まれて来たんだから」」
言葉を重ねて、言った
互いに…
互いを見つめたまま
真っ直ぐに、為すべき事と、向き合うべき事と――
そうして――共に言葉を紡いだ
『癌を許すな
認識を違えるな
繰り返すな』
それを重ねた後…互いに、表情を歪めながらも笑い合った
途方もない難しい議題
ただ倒せば終わりという訳ではない…
互いに価値観は異なる、障壁となるそれらをも前にして…‥
それを受けて、徐に僕等は話を切り上げた
新婚旅行の話をしよう
結婚式の話もしよう
サプライズで爆太郎にどう盛り上げてもらうかも、込みで…僕とケイトだけテレパシーで
ティオネも飛び入りで参加してきた
ティオネ「なんで早く言ってくれないのよ!!」
ティオナ「自分で市民カード使って話せばいいじゃない!!」
ギャー!ギャー!!
「自分の願い(理想)だけの為に、一方的に全ての自由を奪う」
『全ての願い(理想)の為に、全てに自由を与える』
「絶対悪・癌」と『絶対善・神』――それらは双極をなす
その位置は絶対的な対極であり、決して交わることはない
ケイト『いつから気付いた…?』念話
フィン『交わった時から
始祖神に覚醒した君と
いや―――
もっと前からかもしれない
癌と交わった時から、不思議と違和感が収まらなかった
決定打は…小狼達と出会って、から
あちらでの役割も、こちらでの役割も…その他諸々、誘発されて…思い出した』
ケイト『同じ存在だからな…
小狼達(小狼と小狼の写し身)と四月一日は…俺と同じ存在だから
魂が、根っこが
心が似るのも当たり前だ
魂の位、階層の位置さえも――
だから――――共鳴して、役割を思い出せたんだろう』
その折…侑子の名を呼んだ時に紡いだ、ケイトの小さな祈りが――確かに届いた
どうか――あなたにとって、幸せになって
という祈りを……
侑子「一方的に他者に強いるものであってはならない
あなたの教えだったわね――クロウ
見守っているわ――あなた達の幸せを」くす
あの世、真っ暗闇の空間から、静かに笑い掛ける侑子
それに近づく影がいた
「やっと――会えた」
侑子「!
…←静かに声のした方に振り返る
これもまた――必然←目を細める
クロウ―あなたと同じ存在なの?」