第79章 合一の先
ケイト「命懸けで死人だって出てんのに!!
そういった、気遣いも人の心に寄り添うことも出来ない人種だから」わなわな
フィン「ケイト」
ケイト「?」顔上げる
フィン「相手をしないんじゃなかったのかい?」片目瞑り微笑
ケイト「……あ;」
フィン「怒りを抱く価値も無い。
価値を履き違えるな。
全体にとっての価値は、「脅かすもの」――それだけだ
がらんどうの正義に身を染める連中に、殊更癌には、何を求めても無駄だ。
いずれにせよ自分に都合よく歪めて、全体を脅かすものなのだからね?
どっちにしろ、そちらに帰結するんだ…固定化された、完成した魂なんだからね?
いや…この場合は、霊体、かな?
だから――気にしないで、今を楽しもう…
大いにね?(ウィンク微笑)
あ、勿論…無駄にしないようにするのも忘れずに」
ケイト「……
(くす)
うん!」微笑
ありがとう、フィン…
そう安堵した表情で返してくるケイトに…僕は優しく微笑して頷いた
安心したようで、さざ波と風に身を任せて…
帆の糸を固定してから、伸びをしたまま横たわった
その隣にそっと横たわると…傍らで再び、軽く掻い摘んで説明してくれた
原初の魂は、防腐剤
光とは清廉、浄化そのもの、神という成長の象徴
闇とは腐敗、不浄そのもの、癌という堕落の象徴
互いに反対向きであり、偏りがどちらかで変わる
と
ケイト「ごめんね…」
フィン「…ん?
何がだい?」
ケイト「私が…寝ている間、随分と危険な目に遭わせちゃって」しゅん
フィン「くす)…
君が気にすることではないよ?」
ケイト「…でもさあ」
フィン「一番気にしないといけないのは癌だ」
ケイト「!」瞠目←フィンを見る
フィン「……違うかい?」寝たまま左横へ顔を向ける
ケイト「…いいや…
違わないよ(瞑目)
そうだよね…張本人だもんね……」
フィン「安易な考えかもしれないけれどね…」
ケイト「ありがとう…」
フィン「何だい?藪から棒にさっきから」苦笑
ケイト「お前のお陰で…助かったよ……
きっと今…笑えてなかったから^^」
魂がある下垂体、その上にある視神経交叉
そこを伝ってだろうか…魂の力が、視神経を介して目にダイレクトに伝わっているのが見えた
最初に見た荘厳さではなく、優しい眼差しで…穏やかに光っていた