第78章 火の都
滅神の雷…
雲放電の中央に雷があり、周囲を絶え間なく風が覆っているイメージだ…
見た目的に言うと、雲放電そのもので、異世界で言う龍の巣とも言える、途方もなく激しい積乱雲のようだった……
それが…ケイトへ、明確にイメージを伝えて来たらしい
どういう経緯でそうなったかは知った…が、別段気にしてはいないらしい
どうだろうが何だろうが関係ない
私は私、過去は過去だ
祖先がどうだろうが、なんだろうが…
繰り返さないべき業でもない限り気にはしないし、もし偉かったとしてひけらかす気もない
偉いのは祖先であって、自分ではない
それで自分の手柄のように騙ったら卑怯者と一緒だ、とも
それに誇れる、先立って行った方々に胸を張って向かい合える人物として、死んでいかないとな
とまで言っていた……
合わす顔がない状態のままではいたくないし、死ぬ最後の瞬間まで頑張りたい…
それが恩返しであり、私にとって弔いでもある
これは…先人達が笑って、安心して、幸せでいてくれるようにっていう、願掛けでもあるんだよ
そうはっきりと言い張るケイトに…様々な魂が集い、渦を巻き、ケイトを優しく包み込んでいた
本心から想い、幾度となく生き地獄を見てもなお、味わってもなお――それでも、貫き続けてきた『自らの道』
それは――誰かを危ぶむものであってはならないし、率先して巻き込んだり、一方的に付き合わせる為のものであってはならない
無理が通れば道理が引っ込む
『正しいという形』が、「一人だけの主観(正しいという認識)」で捻じ曲げられ、歪み、それが「正しいこととして罷り通る(正当化出来る)」ようになれば、「正しいことが通用しなくなる世の中」になる
それこそが「癌」であり、それに加担したものも、また…同じく「癌」となる
癌化の根源はそこにある
人を「苦しめて回った」後、それが「『人助け』の為に必要だったから仕方ないと思い、過ちを頑なに認めず、正当化し」、
その「自分の主観(個人的な認識)」を、『一方的に意味もわからず苦しめられ、拒否権も無く巻き込まれただけの人達』に押し付け、思考や責任を放棄して、再び幾度も幾度も「繰り返す」
苦しめて回らない手段を考えねばならない
少しでも減らすように努めなければならない
同じことを、過ちを、二度と繰り返してはならない