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Unlimited【ダンまち】

第76章 冒険者依頼(クエスト)、来訪





ケイト「守りたかった…
守れなかった…)


ごめんな…」ぽつり

天を仰いで、宙を悠々と飛び上がるクゥーを見上げる…

楽しそうなクゥ―とは対照的に…
ケイトは真顔で…暗く、重く、沈んだ、痛切な表情をしていた。


今にも泣きそうな顔で…
それなのに、涙が出てくれないことも物憂げな空気を醸し出していた。


その肩に、そっと手を添えると…

心配しなくても大丈夫だ、といった顔で、笑みを綻ばせた。
満面の笑みを…


感情が壊れていて…よかった。
困らさないで済む。

そんな安堵も含んだ表情に…僕は耐え切れず…腕の中に君を閉じ込めた。



咽び泣き、抱き合う国王とエルと同じように…

時間にしてほんの数秒
だが…神の力で引き延ばされたそれは優に数分を越えていた


ケイトの謝罪とは裏腹に…沈んだ声や心地から対照的に…

全てが、彩りよく、心地よく、楽しそうに、
鈴を転がすように、快活に、幸せそうに笑っていた……



全てが――
とても、とても―――幸せそうに―――――

幸せに満ち溢れ、満ち満ちていた――


そんな中で、酷く自分達が場違いに感じた

満ち足りているよ――
そう訴えかけるように、伝えようと、クゥーは沢山の人の念を受けて、光に変えて天から注ぎ落してくる



そんな謝罪は無用だとばかりに――

それよりも、幸せな今を見てくれ
とばかりに――


それが嬉しくて、切なくて…


『助からなかったことも…
あなたは…ちゃんと、今という形へ紡いでくれたよ

ありがとう―――』

そんな、切ない念に…想いの吐露に…ケイトは、涙を零した。

怨霊だった頃とは違って、とても幸せそうな声に…



『報われたよ――

背負ってくれて、ありがとう――』
『ありがとう―』
『大好きだよ――』

ケイト「ひっく;
うっ;」


自己満足では、決して得られないもの…

それは確かに、ここにあった


少なくとも僕は…そう感じた…深く、感じさせられたんだ……



『私達、幸せだよ――』

天から降り注ぎ続ける『光』を、『想い(感謝)(幸せ)の結晶』を、見上げ、
ケイトと共に一身に受けながら、僕は思った


これからも…彼女を支えていきたい

こんな光景を、当たり前のように齎してくれる彼女の一助になりたい――

全てを背負い、憂う君を――愛したい、助けたい、と


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