第76章 冒険者依頼(クエスト)、来訪
数十倍にも及ぶ程に、大きな羽状の光の力を身に纏い、全てに齎す。
神々しい想い、温かな温もり、その全てを…
惜しむことなく、その全てを――文字通り、捧げてみせたのだ
ケイトの背後に、鳥が重なる。
石板の絵が、それと全く同じ光景が、現実として顕現していた…
ケイト「アマゾネスの皆…少しは…気ぃ、晴れたかなっ」ぐすっ
やっと吐露してくれた弱音…それに僕は、そっと頷いた
フィン「ああ…晴れたよ。
皆、笑顔だろう?」微笑
アマゾネス狩りの死者、それらは皆、怨霊と化して癌に憑りつき続けていた。
癌は、自分達の死に、何食わぬ顔で、一切こたえないまま、何事も無かったかのように、笑ってアイシャに接し、
アイシャからの気遣い、思い遣り、痛みに対してまで、無いものとする姿勢に――怨みは止めどなく溢れ続けるばかりで、止まることを知らなかった
奴隷のように扱い、それをそんな人ではないと言われるのをいいことに、
言われるがまま、気にも留めずに、こたえもせずに、背負いもせずに、笑って繰り返す。
その次にしたことは…
冒険者だけでは飽き足らず…戦う力さえない弱者、一般市民(住民)に至るまで……
自ら攻撃し、巻き込み、それでもなお、その扱いを、認識を、自らの理想を、強い、求め続けた。
一方的に、だ……
戦う力の無い弱者を攻撃して回り、死者をも虐げ、何をしてでも、無いものとしてでも理想を貫き、心も痛まない。減らさない。その全てが正しい。
事情さえあれば、何もしても、それに何もしなくても、罪に問われない、処罰も受けない、後片付けも後始末も事後処理も全て人に着せて許される。
なんてふざけたことは無い、起こり得ない。
当たり前のことだ。
そして癌が消された今…怨念から解放され、穏やかな、晴れやかな笑顔を見せている……
ケイト「……うん…」ひっく
その折…強烈な思念が伝わってきた…
私は…何も守れなかった――っ!!!
フィン「……
やれやれ←肩すくめ瞑目苦笑&嘆息
守れなかったものばかり見るんじゃないよ…←片目瞑
君は…立派に、守り抜いてみせたじゃないか」微笑&頭なで
ケイト「?」ぐすっ←顔上げる
フィン「この世界も…
人々も…
ちゃんと…守れたよ←微笑
大丈夫…
君は…人の為に、十分頑張ったよ……全てを背負ってね^^」
