第76章 冒険者依頼(クエスト)、来訪
『向き合う、考える、背負う』
それらで『思い遣る』という行動だと思う。
癌の心情や事情を考えて、信じ、思い遣り、訴えないでいてくれるそれに、
癌は、その気遣いを無いものとし、思い遣りで返さず、一向に後始末が減るよう動かず、食い物にするだけ。
ということだ。
自分の欲と感情に目が眩んで、巻き込まれるだけの周りへの思い遣りを欠き、全てを無いものとして思い通りを強行する、力を持った駄々っ子。
その暴走だ。
そうなれば、加害者と被害者を増やすだけ。
ブレーキとなるのは…『思い遣り』なのだろう。
それを破壊するのは…「思い込み」だということか…
ケイト「癌の在り方に染まるな…
それだけの話だよ」
されたから、何をしてもいい
で?
同じ「何をしてもいい」で一向に返さない連中に、一方的にやった事実が消えるとでも?
「無いものとする行為」
それを取った時点で、そこに痛まない時点で、「癌」になる
同類になるな――
話はそこだけだった
要は…
『人を、死を、気持ちを』汲み、行動に組み込んでいるか。
そこに尽きる。
その一点に絞られる。
だが…それが一番難しいのだろうね……
偏った見方の内は…自己中から抜け出せはしないから。
決して――
そうして保身に凝り固まる、と…なるほどね。
その日になって、ようやく…癌のメカニズムを知った。
話が長くなってしまったね。済まない。
話を戻すが…
もう一つの冒険者依頼(クエスト)とは、
魔力が強くあり、様々な魔法現象が常に起きている特定地域がある。
それを解明せよ、とのことだった。
その歴史は古く…5000年前から続く未開地域らしい。
関連性はさておき…
その地域が、アトランティスの本部があった所から程近い場所にある。
立体地図を見て、帰り道ついでに寄ることにした。
が…
そこで待っていたのは、思いも寄らないものだった。
宴会も終わり出立する前…
ムー連邦の象徴でもある卵を渡したい、とのことだった。
始祖神の涙が下界に舞い降りた時、共に落ちていたのだと言う…
エルとそれ以外が揉めに揉め、
そんなに大事なものは貰えない。と、ケイトも僕も断った。
が…こんな所でずっと閉じ込めて燻ぶらせるよりは、と食い下がり続けるエルを置いて…出立することにした。