第76章 冒険者依頼（クエスト）、来訪

そもそもが、人のせいに出来ない
たとえ、人の為だとしても、なんの為だとしても

一生かかっても出来ないことの筆頭に挙がることだろう


それぐらいに――実父の件で思い知っているのも強いのかもしれない



それほどに――凄惨だったから



人のせいにする、人の為に動いたと訴える。
それは、言い訳は、自らの保身の為でしかない。

喪った人々には、なんにもならない、なんの慰めにもならない。

にも拘らず、いい人だという訴えは続き、学ばず繰り返す。無関係な立場にありながら巻き込まれただけの人々へは何もしない、という行為まで続く。


純然たる人の為が、純然たる自分の為へと変わる
そしてそれを…人の為と訴え掛け続ける

それこそが、癌のカラクリ――生み出され続ける歪みの元凶、負の根源だ



死んだ被害者の想いも考えず、
アマゾネス狩りを他人事として捉え、せめて他の被害者を守って欲しいという願いを蹴散らした。

今生きている被害者の想いに対しても無関心なままで、
どんな気持ちかを考えず、知ろうともせず、自分が助けが欲しい時だけ向けられる厚意に甘えて貪る。

信じて託した、信頼も、厚意も、その想い全てを…踏みにじり、一蹴した


そんな愚行までをも、善だと頑なに正当化に凝り固まる、それごと正しいとする癌



癌かどうかの見分け方は、色んな人の視点に立って考えるのがポイント

人が命の危機的状況下において、無関心

自分のしたことの迷惑やその余波に、無知なのが特徴
命の危機に携わるものであっても


人の価値は、その人の基準によって成り立っている
全員が全員同じではない

同じであるとするならば、その部分は…


『他者の勝手で、利用されたり、無関係な立場にも拘わらず巻き込まれて傷付けられたり、命を奪われたり、人生を害されること』だ。


人の勝手で、人の命や人生が損なわれる
たとえそれが、未然に防げることであっても…
それを、自らが抱くイメージだけで、いいものとする
それら全てを、それも込みで、危険視も問題視も出来なくなる
それが、癌の最大の特徴だ



『偏った見方』
『無責任』
『無関心』

癌を言葉にするなら…世間知らずの破綻者、といった所かな


故意でなければ許せる、という次元をとうに超えている

人の命や人生、想いを粗末に扱っておいて、あれは無理だ