第75章 神器、覚醒
フィン「…確か、バッサイとは、岩々の小さな谷間、という意味だったね」
リヴェリア「相変わらず博識だな」微笑
フィン「そちらこそ」肩すくめ片目瞑り微笑
偏った考え
・ある問題や状況を客観的に見ることを妨げる偏った見方
それについて説明した所、ケイトが口を挟んだ…
ケイト「問題や状況だけじゃない…
全てだ」
『!』瞠目
はっとした
確かに、と思い至った
ケイト「つまりはさ…
「癌」ってのは、『客観的に見る機能』を「妨げる効果」、すなわち「癌化」を及ぼして回る「伝染病」なんだ。
つまり、「癌化」を「伝播して回る狂信者」もまた「癌」なんだよ。
主観が、世界の理屈、認識だと思ってる
だから正しいと思える…
たとえ…人の人生を害し、命を害し、不必要な人々を苦しめて回っても、
あ、無関係の人ね」
『知ってる』
ケイト「だから言って聞かせて改心を促しても無駄。
不都合な情報に怒りを感じれば、その矛先を容赦なく向けてくるだけ。
幾度もされてわかったろ?いい加減懲りろって話で
『その台詞そのまま返す!!』
ケイト「はい;ごめんなさい;
だから触れちゃダメ
無神経で無配慮なんだよ
しょうがねえんだよ
失ったものは、二度と戻らないんだからさ
命も…人生もさ…
知らなかった頃には…戻れねえんだよ…
それを、人へ与えた害悪を、
善だと置き換えるから、自分に都合がいいことだから、
歪曲して、思考を放棄した
それが…癌と、その取り巻きと、狂信者達の罪
だから…消されなくちゃならねえ
その人達は…本気で善だと思っているから
人が人為的に与えられた不幸で泣くことを、減らす努力を怠ることを、善だと呼んで、繰り返すから…
どう転んでも許されないことが、もっと許されないことへ、変えちまったんだ―あいつらは
わかってるんだよー頭では
わかってんだよー本当は!
どうしようもねえってことぐらいは――!!
でも―しょうがねえだろ――
捨てきれねえんだよ
諦めたく…ねえんだよ
笑って見逃すなんて、できねえ…っ
今後も、増えてくのを、笑うなんてのは―さ……
出来ないんだよ――
するとか、しないとかじゃなく――
出来ないんだ
今後も、出ていくのを、減らすのまでは、諦めらんねえよ」
ぽとっ
ぽとと←双眸から涙が次々零れ落ちる