第74章 融和
フィン「違う点があるとするなら
悪意をもってしたものは、悪い心と悪い行為が繋がっているから
改心しさえすれば全て改善されるって所だ
一枚岩だからね
逆に善意をもってしたものは、正しい心が正しい行為と繋がっていないから
改心したって、認識を改めたって、何をしたって、変わらない
本人にとってさえ正しければ、それでいいのさ
そんな人を無理に助けたって
それで痛い目を見るのは君だよ?
守るものを間違えたら、食い物にされるのは君なんだ
僕に言わせれば…
ちゃんと考えている人間と
考えない人間を
同じ秤にかけるな!
人の気持ちや迷惑を省みる人間を、勝手ではかるな!!
『守る』という行為を穢すな!!
…そう感じるね」
ケイト「結構長い」くす
フィン「君だって同じ穴の狢だろ?」
ケイト「否定はしない^^」ふふっ
フィン「どれだけの人が、たった一人の勝手な理想で走り回らされているか、気に掛けない
人の気も知らず、人の気持ちを考えていない
自分にとっての不都合は許さず、人への不都合は許せと求める
自分が辛いと押し売りするだけで、誰もが抱いていることを受け入れない
癌というのは…
清らかな動機だから、それで得た全部は許されるべきと、正しいという偏見で凝り固まった、共存も成長も出来ない人種なんだ
見境なく形振り構わず、事情と無関係のものを巻き込んで、傷付けて、壊して、それが正しい?
そんな訳はないだろう
やっている事と内容は、悪くないと思っている感覚は、極悪人と同じなんだ」
ケイト「……うん…
守りたいと感じるものへの想いと守りたい想いで
それ以外の言動が出来ないぐらい、凝り固まってしまったのかなって思ってた…
でも…それは、それ以外からすれば、迷惑でしかないし、食い物にしかされてないんだよね…
過分なんかでは、決してなかった
酷いことなんかじゃ、全然無かった
やらなきゃ、こっちが消される
そんなつもりもなく、笑って…
次はこっちの番になる
ただ遭遇しただけで巻き込まれたら、
それだけで、されるだけの事情があるって
それが、正しいってなんなんだよっ」涙目
フィン「そこがわかっただけでも十分だよ」なでなで
涙を浮かべ俯くケイトを、僕は横から抱き締めて頭を撫でた
やっと見えた光明(答え)に――僕は、静かに笑った