第74章 融和
フィン「ベリアル…」
泣き咽ぶケイトに、僕は…思わずベリアルに非難の目を向けてしまっていた
離婚するならケイトは俺が貰っていくと、実父から事ある毎にお母さんが言われていた
3歳で、それを、目撃した…
その折、
私がいるせい――?
お母さんが、別れられないのも
姉ちゃんが酷い目に遭うのも…
全部…?
自分さえ死んでしまえば――お母さんも、姉ちゃんも…自由になれる?
ダメだ、それだと守れない
だとしたら…出来ることは何だろう
そう考えて、自分を鍛えることを選んだ
守れなくても、苦しくても、憎しみに飲まれても足掻いて足掻いて足掻き続けた
自分の事情と都合で、全部が振り回されて当たり前?
冗談じゃねえ!!
『そういうの(迷惑掛ける真似)』はしねえって!
私(の魂、存在)に誓ったんだよ!!←胸に手を当てる
だから…
その為に…
その為だけに…
傷も、想いも、味合わせるなんて…ふざけんなって話だろ…←ぼろぼろ号泣
愛するものを見、聞き、その想いに、心に寄り添い、『守る』、それが…彼女を支える唯一の柱だった
誰にも頼らず、誰も巻き込まず、実父があれで常日頃しんどい
いつ暴れるか、捌け口にされ躾と称されるかもわからない実父が、常に同じ屋根の下にいると仮定してみればわかるだろう
自分一人の事情の為だけに、他の人生を滅茶苦茶にする訳にはいかない
母と姉の苦しみが、ほんの僅かでも軽くなればいい
その為になら自分がどうなっても構わない
その根源が…『守りたい』という『想い』なのだから
ベリアル「理想を叶えるには2つに1つしかない
現実を見ず、他へ一方的に行い、無理に合わさせて他の理想を心ごと殺し、犠牲にするか
現実を見て、他に合った方法を考え、双方の理想を汲み合い、共に落とし込むか
この現実とは…『他の心』だ
お前のようなものの為に、守る為に、私は身を粉にするのだ
お前が在り方を決めたように
私もそう、決めたのだ…
全部自分の思い通りにする気はない、したい訳ではない。
それは…十二分に伝わったよ…←なで
なにも…お前を、追い込みたい訳ではないのだ…
済まない」
涙目で、どこか切ない目で、真っ直ぐにケイトの目を見据え、言い放った
それに…ケイトは静かに頷いた
魔界で成果さえ出せれば元に戻せる、それを夢見ながら