第74章 融和
ケイト「…」真っ直ぐアイシャを見やる
アイシャ「あれは…英雄なんかじゃない
英雄に憧れて衝動的に行動に移すだけの、無責任なガキさ
中身空っぽの、何も背負わない、英雄紛いの俗物だ
ってね
喪うその時まで…ベルから謝られるその時まで…わからなかった……
申し訳ない気持ちさ…あの世の仲間に……
天国か地獄かどちらにいるかは知らないけど…ね」ぽつり
ケイト「……」
アイシャ「今となっては…どうにもしようがない…
神になって、やっとわかった…
あれは異常だ」
ケイト「……うん…」
アイシャ「椿の言葉を借りるが…
あれらがしたことと言えば、ただの常人が周囲に流されるまま…全てがその場の感情任せに動いた結果、都合のいい現実でしかない←2251ページ参照
それと全く同じなのさ、ベルは
後先考えない点もね…
あんたと話していたお陰でわかった…←2252ページ参照
あいつも…ベルも、薄っぺらいだけの奴さ。
目的は正しいが、人に求めるばかり…
敵や人に厳しく、自分と仲間だけに甘過ぎる。
揚げ足取りだと言われるだけだろうね…それが好きな奴等からは…
されてる側の気持ちなんてどうでもいい
事情も、予定も、ペースも、感情も、どうだっていい…
それは、人の人生を慮ってはいない、重んじてはいない、向き合ってはいない
すなわち…真に大事にしていない
口では大事にしているが…
肝心の言動が、人の立場に立とうと、価値観に向き合おうと、想いに寄り添おうとしていない」
6月23日…今日(6月27日)から4日前←2228ページ参照
椿とアイシャの日だった←2248ページ参照
お陰で十分に話し合えた←2251ページ参照
その後、こう発展していた…
アイシャ「私があんたに惚れたのは…
自分の不始末でも何でもないのに、自分のことのように重んじて、恩恵がない私達を保護する『あんな貴重なもの』を作って無償で手渡す
倒れていてなんの力にもなれなかった不甲斐なさを呪って…それに踏ん切りを付ける為、という名目で…
意味不明で、馬鹿な…自分を最後に回して、仲間だろうが敵だろうが全く差別なく守ろうとする、
そんなあんたが、何より愛しい
愛しくて、堪らない気持ちになるんだよ――
守ってやりたくて、仕方ないんだ…
だから……選んだんだよ
生涯の伴侶に」微笑