第73章 キルアの冒険

温もりに触れた時、嬉しい時、それ以外で涙が出なくなった…



殺さないといけなかった
被害者だけがおかしいと立て続けに言われ続けた
そういうことやったんじゃないかって…

やってもないことを、やった風にもされた…


私は……私を…殺すしか…壊すしか…なかった
それ以外、誰にも、何にも、許されなかったんだ―

在り方の自由さえ、自分だけ当たり前で…私だけは全部ダメだってさ…


だから…壊さないといけなくなる。殺さないといけなくなる。
そんな事態も、想いも、そんな人も、出したくねえんだ…

仮に加害者が、一歩100歩1000歩500億歩譲ったとして
自ら、繰り返さないようにしてたり、最小限にしようと戦ってたり、なら…言われても、溜飲を下げられると思う…


でも…『赦さない』…


赦してはいけない…
あの時の行動だけは…言動だけは……

あれは――『人殺し（殺人）』以外の何物でもない……



壊されて、傷付けられて、殺されて、
与えられた傷に、痛みに、苦しみ続けているすぐ横で、傍らで、
賠償も謝罪も繰り返さないことも最小限に減らそうとも、何もされないで、何事もなかったように笑われて…

そんな人にとっちゃ、してきた奴が優しいだとかなんだろうがそんなん関係ねえんだ。


いくら『周り全てから押し付けられた』って…

傷を今も与えられ続けてる本人にとっちゃ
地獄を味わい続けてる本人にとっちゃ

そんな人でないなら…『それ』は、人を殺す行為だ
壊す行為だ

『戦わないといけない対象』でしかない
神々のお墨付きだ

正しいって教えてもらった


そうも、ケイトは付け加えていた。



己以外の周囲によって押し付けられた
だが、その先を誰も考えはしない…

どうでもいいから…
人の傷より、自分の感情が一番だから…

だから…あの末路へ行き着く


私一人だけがおかしい、傷も感情も心もおかしいとされ、壊された、殺された

時間は巻き戻すこと等できない
壊されたものは元に戻ることも無い…

知る前には、決して戻れない――



ねちっこいのではなく、それだけ思い入れが深いのだ

実体験者故の想い
同じ末路を辿る人が出て欲しくない…出したくない…

特段、譲れない…
だからこそなのに人は表面しか受け取らない


自分を守る為に――都合がいいか悪いかでしか判断しない