第70章 新天地
ケイト「!でも負担を
フィン「ただでさえ君は妊娠している。
例の件を、忘れたとは言わせないよ?」←1381ページ参照
ケイト「!…」ぎゅ←口を噤む
アスフィ「例の件?
…!」はっ!←後から聞かされたことを思い出す
フィン「君は…いや、常に君は…人の「邪な念」に弱い。
人を敬うのとも譲歩し合うのとも異なる、逆の位置にある邪念。
清い君では…霊感で無意識に感じる「穢れ」は、察知したが最後ヘドロのようにしぶとく残り、後味も悪く、その汚れは浄化し辛い。
天敵であると同時に、神とは最も縁遠い真逆の存在、それが邪念だ…
人を餌にして、己のみを満たそうと目論む。そんな人が人類の半数以上を占めていると言っても過言ではない。
だからこそ、言おう…
人を犠牲にしてでも幸せを手に入れようと出来る、蹴落とそうとする奴等からすれば君はいい餌だ。ここに来れた人達もね…
だからこそ、一時の安らぎを得ている。
君は…どうしたい?
穢れを持ち込む連中を入れないようにした訳だが…
人の心を支配しない限り、それは決して無くならない。
だからこそ、他を重んじるが故に…入れない場所を作った。
清い存在しか入れない、この国を…神国コクーンを…
新たな――救いの場所、『新天地』として
自分さえよければいいと考えられないからこそ、救いの手を差し伸べ続けた。同じ清いものへ…
だがその光景に、欲に目を眩ませる。
こちらにも伸ばせと、余裕ある状況でもなお頑なに利を求め続ける浅はかで強欲な連中が…
それに目もくれず、穢れた低俗な連中から清い者達を助け続けたとして…
その先に待つのは戦争だ。
帝国がここを攻め入る為に領土を拡げようと画策しているという情報が入った。
戦争は神の力ですぐ終わるだろう…誰も傷付けず、一瞬で。
邪な連中へ、今の内に手を売っておくのもありだと僕は考えている。
君の考えを知りたい」真剣
ケイト「……(真剣)
共存は不可能だ――」
フィン「…残念だよ(君も、か」
ケイト「今のままなら、だが」
フィン「へえ?何か策でも?」
ケイト「ああ。だがかなりの強硬策だ。
相手にもよるが…うまくいけば『新天地』となるかも…」
フィン「是非とも聞かせて欲しいものだね…」
ケイト「……国境を無くす」真剣
『!!?』
ケイト「同盟国間の」