第70章 新天地
大袈裟だとケイトは思うかもしれないが…心底、感謝しているのだ。
いつでも帰れる居場所を作ってくれたことを、惜しみなく与えてくれたことを、給料だけでなく今後も暮らしていけるよう寄付まで手厚く保証してくれたことも…
僕に何の相談もなしに、向こう1000年は大丈夫だろうと言い切れる巨額を、ケイトが共有財産でなく自身の個人貯金から回していた。
全く…←嘆息
神殿での謙虚な慎ましい生活様式なら、2000年は持つ。
そんなこんなで…感謝が絶えないことぐらいは把握して欲しいものだ。
国民達も、孤児達も、各種族でさえも…差別なく、偏見なく、抱かれることもなく過ごせること…
それがどれほど恵まれているか……
外での経験を得た者なら、誰でも知っている…
ケイトも知っているだろうに…その身に浴びてきたというのに……
ふふっ…^^
「だからこそ与えたくはない!」と言いそうだ。
慢心せず、皆にとってより良くを、どこまでも、どこまでも…何年も先の子孫が笑っていられるように、努力を惜しみたくない。
そう全身から、言動から敢行し続ける彼女だから…王へ押し上げられた。
その自覚をもっと持って欲しいものだ。
「声が出せないよお…殴られるよお;;」ぽろぽろ号泣←八つ当たりと鬱憤晴らしの暴虐を、体罰と嘘をつき虐待を日々受け続けてきた子
神官「大丈夫…(頭なでなで)
繰り返さないように努めてさえいれば、きっと見てくれる…
もし気付けなかったとしても…ちゃんと、神は見て下さっているもの。
だから…した過ちは繰り返さないよう、努力を惜しんではダメだよ?」
「ぐすっ…
はい!(頷く)
でも…3歳の僕でも出来るのに、しない人なんているの?」
神官「殺人でも傷付けるでも、最小限に出来ない人も、その努力をしない人も、世の中には居るんだ。
それで、世界が滅ぼされかけた…
だから、人からされたからと言って、していいという免罪符としてはいけないよ?
私刑をした時点で、悪いことをしたと思わない時点で、
もう、その加害者と同類、その人が意図的でないなら「それ以上の悪」になってしまっているのだからね」
「うん!わかった」
人としての道理を説いている所らしい…
人にされて嫌なことはしない。
その本題は、『嫌なことをした人と同類(同族)にならないこと』。