第70章 新天地
だが、いくら守ったとしても…
それは当然のこととされ、裏で見えないようにやる輩の多いこと多いこと…
仕返しされないとわかれば、され続けるばかりというのが世の常だ。
それはそうだろう…その者達からすれば、都合のいいサンドバッグに過ぎないのだから…
クズの思想に、クズの手段で立ち向かったとして、それは人としての品位を落とすだけ…
よく吟味されている。
『敬虔なる使徒よ…』
そう神々から賞賛される謂れは、物事をそういった深い所までしっかり見ているからこそなのだろう…
使徒とは神聖な目的に献身する人…
ケイトと照らし合わせて考えると…
他の幸せの為に、他の業がより深くならないように努力していることを指しているのだろう。
ケイトは、彼に救いがないことを嘆き、何とかしようとした…
だが、どうしようもなかった。
助かる手も、術も、何もなかったのだ…
救いの道さえも――逆に世界が滅亡する未来だけだった
ケイトは…彼が、考え無しだからだと思った。
考えてさえいれば、気付けてさえいれば、きっと…そう、一縷の望みをかけた。
だから教えた。
だが…現実はそう単純でも、簡単でもなく、複雑怪奇なものだった…
元敵にした横暴な振る舞いを決して謝らず、そればかりか…
「命を危機に瀕しされたのに何でそこまでしなければならないんだ!」とまで言った。
同じ台詞を返したい、という想いに駆られた…
何故力を貸さないといけないの?とも…
更に
「何で聞かなきゃならないんだよ!」
ケイト「同じことを相手も思ってるよ」
「…」
ケイト「考えたことないの?
力を貸してくれる仲間、とやらにどんな仕打ちをしたか…
どれほど、自分と身内だけの勝手だけを貫いて、それ以外の人達の都合や希望は全部無視して、踏み付けにして泣き寝入りさせているか」
謝るべきことに対し、駄々を捏ねるばかり…まともな会話にもならない。
終いには
「もういいよ」
「俺を悪者にしたいんだ」
「悪い奴としたいんだろ!?」
とまで開き直り清々しいまでの逆ギレをする始末…
咎を、悪いことをしたと認めぬまま……
殺しも、何もかもを…
迎撃目的以外の、私的感情のそれ(殺し)を悪とも思わぬまま……
論点がずれるばかりか、本題をも見失うほど、自己正当化に走る始末だった。