第69章 文明開化
お陰で大抵のことは耐えられるようになったと
ケイトは笑い飛ばしてはいるが…痛々しくてとても見ていられない。
何も感じない、こたえない訳などない。
第一…笑えていない。
心も、魂も…その全てが、咽び泣き、泣き震えている。
傷も、痕も、感情も、意思も、心も…押し込めてきたその全てが、奔流となって堰を切って、嗚咽をあげて泣きじゃくり続けている。
体が涙を流しても、縋ってはいけないと、頼ってはいけないと、
幼少から叩き込まれ続けてきた習慣は、簡単には甘えさせるなど許さない。
人生そのものを揺らがせた、道を決定づけたいじめも。
大人も、子供も、関係ない。
誰もかもが…助けず、痛め付けてくる。
それ以外を、してくる当人達は幸せとは思わない。それ以外は決してしてこない。干渉もしない。
平気で笑い、一切こたえず、苦しむ様をすぐ傍で見ながら悦に浸り、楽しいなあ嬉しいなあと堪能できる。
目に見えないものは、出せないものは、そういう風に育てられたものは、何も抱いてはいけないしかない。
虐待いじめ推進国…
『目に見えない』ならばいくらでもよしとする、決して前科とせず、大いに苦しめと嘲笑う。
そういう人種以外、国内には一人としていないことだけはよくわかった。
そんな人しかいない、誰一人として…
嬉しいなあ楽しいなあ…
ケイト自身もまた、そう思い込むことでしか乗り越えられなかった…
もし、何か一つだけ願いが叶うとしたら…
そういうことをする人を、した瞬間にあの世に送って欲しい。
この世にいる、泣き寝入りさせられ続けている、死ぬ他全てを許されない人を、助けて欲しい。
それ以外にはない、とまで断言された…
アイシャ曰く「無欲に見えて欲深、どこまでも人の為。
だからついていきたくなった。その果てを見たくなった」
そう言われる理由の心髄だと理解した。
「正しいとでも思ってんだろ」
「はっきり言えよ」
そういう偏見が、幼少時からの実父による英才所有物教育の賜物だとも思わない。
「実母に守られてるだろ」
それが思い通りに動くお気に入りの人形を傷付けられたことへの怒りだとも思わない。
誰も、思わない。
誰か、助けて。
幼少時に付けられた操り鎖…それに気付くものも、助けようともする人さえも、誰一人としておらず、現れなかった――