第69章 文明開化
フィン「他だからできるんだろう。他人事だから…
他人の感情や思いだから…」
そう伝えると…憤りでも、哀しみでもなく…
憐憫を孕んだ目で、僕ではなく、それをしているだろう遠くの人々へ想いを馳せた。
ケイト「そうか…
末代まで祟られぬように…努々忘れてくれるな。
軽視したことを、軽視して行った所業を。
相手は鏡――
わかっていて己が自らした酷いことを、した分だけされねばおかしいと思え。
あの世でそれまでの所業を全てあげられ、天国行きか地獄落ちか裁かれる時――お前が犯した罪の重みを知るのだ」
フィン「それでも知れないから生まれ変わってきていることを忘れてないか…?;」
ケイト「あ…;」はっ
テロップ『気付くのが遅い!;』
その時、当時の対話はそれだけで終わった。
私利私欲では災禍をいざなう。
真に幸福となるのに必要なのは、滅私奉公――
私利私欲を滅し、己の心は捨てず、神(公)に誇れる己と在る為、高めるよう努力する。
そうしてようやく…神のいる高みへ一歩分だけ近付く。
人の想いは移ろうもの。
いくら尽くしたとして、際限なく求め出す。
だからこそ、それにとらわれても破滅してしまう。
それよりも…自分も人も同じぐらい大事にしなければならない。
自分を大事にし過ぎてはいけない。かと言って人を大事にし過ぎてもいけない。
要はバランス…支え合いでなければならない。
そもそもがケイトは、人を責めずに自分を責めるタイプだ。
だからこそ、「まずは『自分を思いやる『自分』』を作ることから…」
と伝えておいた。
世界、魂、神々、全ての存亡の危機…
たまたま始祖神が生き残れたのはレアケース…
あのような事態は今後避けたい…もう二度と起こらないように。
ケイトは特殊で…不幸にする人を許せないのではなく、不幸になる人が増えていく『現状』が許せない。
人がそうなるのには相応の事情があったり、無いまま快楽を求めてするものもいるのも知っている。
だが、それでも…だからと言って思うが儘に傷付け殺せば、それに負い目も後悔も抱かなければ、その時点で同類だと知っていた。
だからこそしないのだと…
決して染まりはせず、己という個を、道を見出し、貫くのだと…
彼女は真っ直ぐな眼で、双眸で、最奥(本質)を見抜くように見つめ、言った。