第68章 騒動
だからいい人と言えない。
言えるはずもない。
言っていいはずもない。
してはいけないこととされた気持ちも理解した上で、繰り返させないようにしていない限りは…
ここではそういうことを平気でする人は一人もいない。
あくまでそういう環境だから…
いい人ほど、まともな人ほど、努力している人ほど、損を見る世界だ。
だからこその修業場なんだろうが…
あくまで…そこに住む人達が作っている環境だと周知すべきか…(うーん)
移動した方が早いからと人が集まり過密になりそうだ…
直径9.88kmと言ってもどうしたものやら…
ああ、異空間でどうにでも出来るからそっちは大丈夫か」
考えを固め、社会は皆で作るものと意識付けることを提案した。
フィン「一人一人が注意して、喚起し合って、ようやく理想が実現するとしよう。
あとは厳罰化、締めるべき所は締めて、緩めるべき所は緩める。
それを徹底していくしかないね…
気長に、地道に」
ケイト「……いい人って何?」
フィン「君みたいな犯罪に走れない人だよ。
人の気持ちを考えてブレーキを踏める人間だ。
大丈夫…君は、ちゃんと胸を張れる存在だよ」
ケイト「…でも…謝るべきタイミングで謝れなかった」
フィン「それこそ過失だろう?
誰でもするものだ。そもそもが君の場合まともな環境ではなかった。
同じ背景、土俵として比べるのは酷。その背景を知らない者達の戯言だ。
是非もない」
ケイト「…完璧な存在は…いない……
私がいい人だとは…言い切れな
フィン「ケイト」
倒れた大木に座ったまま話し合い、犯罪法の追記を終えた時のまま
隣に座る僕の方も見ずに
座り込んだまま肩を落とし項垂れるケイトの前に回り込んで立ち、声をかけた。
ケイト「…」俯&瞑目
フィン「僕の目を見るんだ」
ケイト「…」すっ←顔を上げてみる
フィン「君の目には、何が見えている?」
ケイト「……フィンの愛しさ、愛!」キラン!
フィン「そういうことじゃなくて…^^;
ははっ(苦笑)←乾いた笑い
…(まあ君らしいか。心配を掛けまいと無理しているのは明白なんだが」
ケイト「?」首傾
フィン「君は…犯罪をしない。
してまで、無関係の他を巻き込み、不幸にしてまで、自分のしたいことを貫かない、幸せを望まない。
いい人とは…そこに尽きるんじゃないか?」