第68章 騒動
マヤ「そうかい。
わかったよ。
あんたが言うんならそうなんだろう…霊感もさぞかし研ぎ澄まされているだろうし」
フィン「そうなのかい?」
ケイト「うん」頷
話し合う僕達をよそに、ケイトのお腹に再び手を触れて瞬時に血を処理した。
マヤ「いいかい?
自分勝手の線引きを教えておいてやる。
欲の為。
「自分の思い描く未来」、強いて言うなら「自分だけの理想」の為に、他を、その意思や感情を無いものとして振り回す。
思い通りにならないことに直面した時、暴力や暴言を振るってでもしようとされたらそれだよ。
愛の為。
痛い想いをして欲しくないから、他の為に、無いものとしてでも振り回す。
その場合はちゃんと、感情に振り回されるのではなく、後々こうなるという情報を提供して、自分で考えさせて選ばせな。
でも『大事であればあるほどさっき言ったみたいに激情や怒りに駆られるもの』だから、重々気を付けな?誰だって欲の皮の突っ張った大人だなんて思われたくはないだろう。
これらはね、「欲の方が自分勝手」、『愛の方が思い遣っての善行』と判別されるのさ。
愛の場合、たとえさっき言った暴走が発生したとしてもね」
ケイト「なるほど…」
マヤ「あんたが例の彼で云々かんぬんなってたのも、消されたそれが大事だとか『も』色々あるんだろうが…
結局は…そんな大罪人にしたくないなんていう思い遣り、本来はそんな奴じゃないという愛情からだ。
不満とか、責めるように聞こえる言葉も、地獄落ちの条件の判別の為の情報整理もね…
後々…誰もが地獄落ちにならないように、条件を予め類別しているだけに過ぎない。
だから深くとらわれないことさ。
自分の為、っていうのは欲が主さ。
精々気を付けな!」
ケイト「はい!
あれ?でも待って…
自分を大事にとか、守るっていうのも欲?;」んー←顎に手を当て考え込む
マヤ「あんたはどれだけ蒸し返せば気が済むんだい;
いいかい?
愛する人が傷付くから、それを避けたいから大事にするんだろう?
その大前提がある場合は?」
ケイト「あ!(はっ!)
愛情…?」
マヤ「そう!
だから…変に小難しく考えず、それでいいんだよ」
ケイト「……そっか…ありがとう、ばっちゃん」ふっ←安堵したように笑う
晴れたように笑うケイトに、マヤは優しく微笑みながら頷き、その頭を撫でた。