第68章 騒動
共に毛布を被ったまま、互いに服も着ていない状態のまま…
抱き締め合い、愛を伝え合い、唇を重ね、擦り寄り、撫で、愛でていた。
その中で…ようやく、伝えたい言葉が自然と口をついて出てきた。
フィン「共に、幸せになろう…」
ケイト「一瞬で言ってよ;もお~」
フィン「次の瞬間に吹っ飛んだんだよ…;
君の思いも寄らない一言で…;
まさかドラゴンボールの真似事をされるとも思わなかったものでね;」
ケイト「あ、あはは…;」視線逸らし
フィン「まあともかく…
他人行儀に、遠慮しいな癖は…習慣が長く続き過ぎたから難しいとは思うが…
控えるよう頼むよ」
ケイト「うん…
逆に、傷付けるとは、思わなかった…
でも、さ…」
フィン「?」
ケイト「……私は…私を大事にすること、自分を愛することが…死ぬよりも難しいよ」
フィン「……知っているよ…それが、君の人生の課題だからね」
ケイト「人間の醜悪さなら…死ぬほど知ってる。
私…私のせいで
フィン「君のせいじゃない」
ケイト「!!」
フィン「君は…自分の関わる、人が自らした悪事を全て自分のせいだと言い張る気か?
そんなはずがないだろう…
在っていいはずがない、そんな馬鹿な話は。
そういう人のせいにする奴は、たとえどんな理由があろうと、どんな人であろうと、君の時と同じように荒唐無稽な理由を立て並べ、君一人のせいだと責任転嫁する。
自分を責める気もなく、繰り返すまいとする気構えさえもない。
だから…君が気に病むことではない。
地獄落ちする未来を見据えて、責任を感じること等ない!
悪いのは…君のように曲がらず、腐るまいとする自制心、人としての信念、気高さがある人ではなく!『ない人』だ!!」
ケイト「……いいのかな…」
フィン「君はどうして欲しいんだ」
ケイト「……うーん…」
フィン「……責めて欲しいのか?」
ケイト「…人の責任は、人のもの。
自分で動き、考え、言葉にし、行動に移し、体現する。
だから…誰が関わっていても、同じことをした?」
フィン「悪いことをして、悪いと思わないこと。
悪いことをしようとして、止めようと思わないこと。
それらがある限り、避けられるはずもないことだろう」
ケイト「…なるほど…
でも…自分を愛したり、大事にすることで…誰かが苦しんだり、傷付くのが…やだ」