第66章 穢れ
ケイト「でも傷付く姿を黙って見ていられないってのは優しさだと思うよ?」首傾
フィアナ「それが優しさだとして何だというんですか?
それで殺しでも何でもしても無罪になって当然だと?」
ケイト「そこまでは言ってないけれど…;
俺の誇りは仲間だし友達だって言ってたし…」う~ん
アスフィ「その誇りの為に踏みにじられてきたものがあまりに大き過ぎた。
そう言いたいのではないのですか?」
フィアナ「ええ。本当にその通りです。
一番の罪は…我慢を知らなさ過ぎること、です。
仲間の為という理由は結構なことですが…
敵にもそれ相応の事情や経緯があり傷があると知った後の行動があれだったのであれでした。
神々ごと消さなければならない魂が生まれるのは、5000年に一回です。
と言っても…長年の実証を経て決めるのですが、今回のことでよくわかりましたし。
痛みを知らないのは、罪だと。
その痛みを知った後、寄り添わない。
敵の抱くそれも、それによる経緯も、今に至る言動も…全てを自分の都合で否定し、力で捻じ伏せて止める。そしてそれで得た平和を享楽し笑い、どうすれば傷から救われるかなど思いもしない。
それは優しさではありませんし、ましてや怠慢以外の何物でもありません。力を借りた後もなお続ける有様ですし…何より、貸そうと姿勢を示したことさえもない。
痛みを、家族や仲間の死を、全てにおいて救いのない絶望も、頼りも何もかもがない暗闇も、人の闇しか知らない現実を生き抜き続けなければいけない果てのない苦痛も、延々に続く現状さえも…
救いようがないのですよ。
いい面がいくらあろうと、総合評価がマイナスになるほど残酷なことをしている。その自覚すらもない、反省する気さえもないのだから。
ケイトのように環境が環境で常に追い詰められその日暮らしで余裕が欠片もないぐらいの環境に毎日身を置いているのならいざ知らず…」
ケイト「うん…そこに関してはそう思うよ?
でも…私が腑に落ちないのは…その優しさって希少なものなんじゃないの?ってこと」
フィアナ「ええ。希少ですとも。
ですが…実際にやっていることが、その優しさとは釣り合わないのです」
ケイト「どこら辺が?
さっき言ってたそれらと、死ぬ気モードでの日常で並盛町の人達の平穏をぶち壊して泣き寝入りさせ続けた点なら知ってるけれど…」