第66章 穢れ
フィン「傷もなく、ただ暴れたいだけの人には…?」
ケイト「そうできるだけの場所と環境を用意すればいいだろ?」
フィアナ「だとしても…ああいう無遠慮な人間はいなくはなりませんよ?」
ノアール「世の中は穢れに満ち満ちている。人も…何もかもが」
ケイト「知ってるよ…
それでも…そう在って欲しいんだ。私が。
そんな場所で、在って欲しいんだ。
迷惑をかけるかもしれないけれど」
フィン「人の幸せの為だろ?
それも…巡り巡って返ってくるように、というのを実現化させた。悪ばかりが得を見る社会とは断絶化させた。
それなら…自分の為の必要なことだ。断るのは愚か、無碍にする人だっていないだろう」
ケイト「……でも…私の要望を叶えて『もらっている』」
フィン「それでいいんだ…
それでいいんだよ。
王としてだとか、横暴にふるまうとか、そういうものでない限りは。
権限を私的に利用して暴利を貪る奴しかいないんだ、普通なら…
だから…堂々とすればいい。
人の為に考えた末の案だろう?あとは…国民の皆がどうしたいか、それだけだ。
それさえ合えば…それは、国家の総意となる。
君の想いを、見れない人はいない」
ケイト「!」瞠目
フィン「個人にとっていいように、当たれるように捻じ曲げようとする人は、もういない」
ケイト「…」眼振&涙目
フィン「意図的にイメージを悪人へと操作しようとする人もいない。
だから…人の為を想ってのことなら、そのまま伝えさえすれば、それだけでいいんだよ」
ケイト「ぐすっ…うん;」ずびっ
なでなで←全員で頭を撫でる
領主邸の領主室にて、椅子に腰かけたまま長く続いた話し合いは終わった。
アスフィ「誠意は伝わります。
几帳面にもほどがあるぐらい、大事にしようとしてくれているのが…痛いほど伝わってきますし」
ノアール「もう少し粗雑でもいいぐらい」
ケイト「でも怖い;」ぐすっ
『知ってる』
ケイト「同じになるのは…それだけは、嫌だ。
あんな思い、して欲しくない。同じ轍、踏んで欲しくない」
フィアナ「もう少し…自分を高く評価して下さい。
人に温かくされなかったからと言って、逆にして欲しいことをしようとする。幸せになって欲しいと願う。
それそのもの自体が、極めて希少なんですから。
だからこそ…神々が好いているのだから」