第65章 新たな冒険

楽を選ぶことになるのだろうか。と悩んでいたそうだが、実際はそうじゃない。

「フラッシュバックやPTSDに苦しめられ続けながらも向き合おうとした。
だがそのまま合わないもの、フラッシュバックやPTSDを重ねさせる人や状況へ無理に合わせるのは、精神を壊さなければ出来ない。
壊してでもしなければいけないということではない。たとえ流儀や自らの軸に反することだとしても…

ただ楽を選ぶのと、同じではない。決め付けるな。そんな深い心の傷もない一般の輩と同じ天秤にかけるな」
ケイト「でも周りは知らない！出来て当然だと求めるだけだ！！！」

「相手にすることは無い」
ケイト「でも！！！

っ…；
甘えでしかない！！；；」

「甘えていいんです」
ケイト「！」

はっとした顔で顔を上げるそれに、伝えた。


「誰もが甘えています。
あなたがするとしても、甘えはそれだけでしょう？

自ら傷付けようと意図して動いたりしていないでしょう？
日常的にしないように日頃から慎重に動いている分、細心の注意をしている分、そこに気付くべきなんです。
そこに気付けない相手の落ち度等、人の勝手な認識に振り回される必要はない。

自分に厳し過ぎです。もう少し緩めて…でないと…また、感情も心も潰れてしまいます。


もっと…自分に優しくしてあげて下さい……誰よりも…あなたが、あなたを傷付けている。見ていて…とても痛い。可哀想です」と伝え、抱き締めることで、ようやく頷いてくれた。

心に、感情に、寄り添ってくれる人の存在。
それすら…まともにいなかった。


だからこそ…干ばつ化してゆくばかりで、次第に水すらも拒み自ら荒らしていた。

自らばかりを責め、痛め付け、それのみが当たれる場所だった。自らの心が、自らが当たれる唯一だった。

そこに落としどころを付けた。優しさを自分にも向けなければ、見ている大事な人も痛いのだと『知った』。



しなくなるとしても、その先は…未だ踏み入れたこともない未知。

これから進むのは…冒険に等しい道のり。
ずっとずっと乾き続けてきた心と自分も向き合い、付き合いながら生きていく道。


その新たな冒険に、生涯続く道に私達は寄り添い続ける。

そう心を決めている。
躓きそうになれば助けるし、危なくなれば必ず護ると。

あなたが無償で、迷わず何度でもしてくれたように――