第64章 新たな指摘
アスフィ「あなたも含めて、です。
いいですね?」
ケイト「うん…心配してくれて、ありがとう^^」
後はケイトの問題…
わかってはいても…その性格と人となりがわかっている分、余計に辛く感じた。
どう在っても、助けたい…どんな人物像であろうと関係などない。
遺族たる人がいなくとも、友人でもまた遺族と等しい存在になり得る。
少しでもいい…助けたい。
あんな苦痛を、哀しみを与えたくはない。
そんな想いに蹂躙される姿を見たくはない。
大切な人であっても…そうでない人であったとしても……
放っておけばいいのに。見捨てればいいのに…
どんな人であっても…それができない。
アスフィ「何故…」
ケイト「ん?」
アスフィ「どうして…そんなにも…見捨てられないのですか?」
ケイト「………長い話になる。
前々世の頃の話だ」
アスフィ「…」
ケイト「……聞いてくれるか?」
アスフィ「当然です」
ケイト「迷いなく言い切ったね^^;」
アスフィ「…しかし…何故、私がいる時に?」
ケイト「……お前には…知っておいて欲しい。
私が、こうなった原因を…元凶を」
アスフィ「……わかりました」
ケイト「私は…2800年前…ヘレイオスという人物として産まれた。
男児で、王族で…最も遅く産まれた末弟だった。
そして…クレーテー(クレタ島)の、聖職者の下へ預けられた。
名をセレネ、男性にそぐわない名だが…とても優しく、気立てのいい傑物だった。
私は…当時、捨てられたと思っていた。
親から引き離されたのも、遠く離れた地で暮らすのも…全てが気に食わなかった。
当たり散らそうとした、が…どうにも、虫すらも殺せなかった。
その気立てが…王を見限らせたのだろうと囁かれていた。
孤児院のような…同じ場所に居る、同じ釜の飯を食った子が…そう言っていた。
殴りかかろうとした。飛び掛かって、押し倒して…でも……できたのは、そこまでだった。
拳を寸前で止めて、泣きじゃくることしかできなかった。
自分が情けなかった。
全ての言葉が侮蔑に映って、自分を殺すことでしか生きていると実感できなかった。
痛みや哀しみしか…実感できず……生の中に楽しさを見出すことも、感じることすらも無いまま、私は生きてきた。
それが…私が私となる、全ての始まり(根源)だった」