第64章 新たな指摘
空虚にも見えた空気を纏いながら、ケイトは語った。
ケイト「傷付いてない訳じゃない。
でも…やると決めたから。
何だと言われようが、明日後悔しない為にも、
明日食う飯が不味いのは嫌だし、知ってて無視するのはもっとやだ。
だから…すると決めたんだ。
相手の為にも、自分の為にも…互いが、生を謳歌する為に。
私一人だけ、だなんて…考えられないよ。
私には、できない。
そういうことを考えることも…思うことも、実行することも。
それが私なんだって…今では胸を張って言える。
私が、今まで生きてきた中で決めた道だってさ(微笑)
どんなに生き辛くて苦しくても貫くって」
尊敬に値する態度、敢行しようとする姿勢…
それだけが、唯一…ケイトを救った。
ケイトという人格を、壊さずに今という時間まで引き延ばしてくれた。
延命させてくれた――
私達は、それを害しようとしているのではないか?
それに口出しをすること、制限を設けることは…
悪夢を見た際に、フラッシュバックを起こした際に、悲劇を起こすのではないか?
そう思えてならなかったのです。
聞いてみると…
ケイト「その時は…助けてくれるだろう?(微笑)
傍に居てくれること…それが、一番心強いよ^^
だから…心配する必要は無い。
もう…――何も返っては来ないのだから」
一番欲しかったものは…二度と戻らないのだから。
あの時には戻れないし、やり直せない。
だから気にした所で詮無い。
そう、教えてくれた。
重い荷とならないように、せめて背負うとしても軽くなるように、幸せとなれるようにと…願いながら。
少なくとも…私の目にはそう見えた。すぐわかる程に…
ケイト「心配しなくても…心身に無理の無い程度にできるよう、頑張るさ。
もし、それでもやり過ぎていると思った時は教えて欲しい。
多分、それでもできる範囲だけでもやろうと思ってしまうだろうけれど…
それが…私の根幹だから(微笑)←どこか切なそう
そこだけ、よろしくお願いします」お辞儀
『こちらこそ』
そう、頭を下げ返した。
フィンがいない内は領主館で暮らすようで、共に領主館への帰途につき、ちょうど辿り着いた所でした。
その頃、迷宮では…
フィン「…今の所順調だね。
いいペースで進めている、問題も無い」