第62章 新たな邂逅
力無く項垂れる中、叫びが響いた。
アスフィ「彼の為でしょう?!」
再び、叫びは響く…
きっ!と睨み据えるような眼差しで、私の双眸を見つめながら…
それに対して、私は目を逸らした…眩しくて……
それでも、何とか伝えようとした。
ケイト「彼は…さ。知らないんだ。
自分達の平和が、数多の犠牲の上に成り立っていること。
で、窮地に飛び込めるほど優しい人が落ちるわけないって周りも信じ切っている。
私も…そう、信じていた。信じたかった。
いい人だと、思いたかった…←2481ページ参照
だから…起こったんだなって、今になって分かった。
後に力を借りたいのなら、それなりに筋を通すべきだってことも…
気持ちも…見ようとするという行為の重要性も…苦悩故の言動や痛みも、わかろうとしない。
きちんと見ようと、気持ちを考えるようにするだけでも…かなり異なってくるというのに…
いじめっ子のような真似を、力を借りながらも…ずっと彼は続けてしまった……
共通の敵がいる時にしか借りられない感じになるかは、知らないけれど…」俯
リュー「彼が大事だから、少なくとも…
捨て置けないほど好きだから、認めているから。
だから余計に落ちるのが忍びないと思ったんでしょう?」
ケイト「それは…そうだけれど余計なお世話で
アスフィ「余計なお世話だからなんですか?
余計なお世話だから、何だと言うんですか?
私は…――っ!
その余計なお世話に救われたんです!!」涙目
ガシッ!!
私の両肩を両手で掴み、涙を零しながら叫ばれた。
アスフィ「救われた人ばかりです!
ここにいる領民達も皆!!あなたの温情で生かされたも同然です!
それを無駄にするか!しないか!
それだけでしょう!?
動くか、動かないかは、本人にしかできない!
選べない!!
あなたが選べるものではないんです!限界があるんです!!
でも…あなたが動かなかったら、救われなかったままのはずだった者達がいるのは変わらないんです!
救われず死んでいったはずの者を、あなたは救ったんです!!
救ってくれたんです…あなたが……私を…皆を…
忘れないでと…無視しないでと、言いましたよね?」ぐすっ←2462ページ参照
ケイト「……そうか……
私はいつの間にか…人の責任まで、背負い込んでいたんだな」