第62章 新たな邂逅
アスフィ「そういう「いい人」というイメージの押し付けが、考えが、偏見が、間違いを善行として
被害者を、心をも何もかもを、只管に踏みにじる。
殺しや傷付けに対して責められない、善行がその為のただのポイント稼ぎとなってしまっているのが現状。といった所でしょうか」
ケイト「泣き寝入りする以外許しはしないと強気に強行するばかりだ!あいつらは!!
あいつも!あいつが好きな人達も!!
加害者はいつでも守られ擁護され、痛い思いや辛い思いをするのはいつだって被害者だけだ!!!
私は、同じ人を増やしたくはないんだよ。
被害者も…加害者も…!
私の理想とするものは、そこにはないんだ」睨視
アスフィ「ぞわっ!!)!!
(何でしょうか…この、青ざめるような悪寒は」ぶるっ!
酷く冷たい何かが込み上げ、絞り出しているような…
そんな何かを、私はケイトから感じた。
遠くを見据えている、ただ見ているだけだというのに…悪寒が止まらなかった。
その感情は…酷く、著しい――憤怒
ケイト「人を殺すということは…そんなに軽いことか?
確かに簡単にできてしまう。それは…いい人ならば、そんなイメージさえあればいくらやろうとも…たとえ奪われようとも、赦されて然るべきことか?
自分だけ奪われなくて当然顔をする、奪っておいてそんな言動を常に敢行し続けるそれを…
何故――そんなにいい人と執拗に強要できる?そんなことが言える?
殺しが止むを得なかったとして…その後の言動を、何故何事も無かったかのように…虫を殺した後のように、何も悩まずに、何も感じずにいられる?
殺された記憶がある人と対面した時、何で自分が殺した人へあんな態度でいられる?
奪われた人へ…大切に想う人へ…何の申し訳なさも抱かない?
いい人って……何だ?
そんなことが出来る人が…外面の優しささえあれば、そうやって殺した後罪悪感も感じず安穏と笑って過ごせる人が……
そんなにいい奴で、正しいのか?
押し付けるな――?
逆にされてから言え――!!!」
次の瞬間…彼女からブチッという何かが千切れるような音が聞こえた。
それが堪忍袋の緒であることはすぐわかった。
咄嗟に私、近くにいたティオナとリュー、ケイトに結界を張った。
それから間も置かず、怒号の如き叫びは結界内に反響し続けることとなった。