• テキストサイズ

Unlimited【ダンまち】

第61章 新たなる発展





私も…フィンそのものが大きな存在となっていた。


自分から見たもの、経験したことが全て…

音と気配を消した。
安心して寝れる場所なんて家にはなかった。

意思を殺して、感情を殺して、心も殺して…そうでなければ生きられない場所だった。

自分の意思など要らない。
持ってしまえば殴られる、思い通りに動けと喚かれる、してはいけないことだと怒られる。
感情のままに泣けばどやされる、意思を少しでも出せば殴り蹴られる、仕返しなどしようものなら罵倒と共にいつもより酷く暴力が返ってくる。

力が全て。発言権は父にあり父がいない時は母。
姉は要領よく立ち回る。

誰もが私の意見など聞かない。意思など聞かない。感情など寄り添わない。
誰も見てくれない――


心も何も要らない…
ただ御飯食べて生きたサンドバックになればいい。

そういう場所(家族)に居て、それが普通だった。



感情の起伏もなく意思すらも抱かず伝えられない私は…さぞかし異質で理解できないものだったろう。
仕返しもしないそれが骨身にまでしっかり身に付いた私は、さぞかし美味しい獲物に見えただろう。

好きに出来るのだから。自分の言いたいように言って、偏見を抱かせて、判断力を鈍らせて。共に貶めよう、見下そう、傷付けよう、殺そう、いくらやっても大丈夫だ、楽しいぞ。
そう扇動するいじめっ子も、それを未だ周囲へ広げ評判を下げようと画策し続け感情のサンドバックに仕立て上げようと必死になる周囲も…


もし私が自殺すれば彼等彼女等は人殺しとなるだろう。
決して消えない罪を負い確実に地獄へ落ちるだろう。
いや、神様から落とされるのが…私には見えていた。

私はそれが嫌だった。あくまで個人的にそれを見るのも嫌だったからに他ならない。
霊感があるから、その結末が見えてしまうから…結局は人のそればかり優先してしまっていた。
人を気遣い、助けを求めて嘘つきとされたこともあり説明できず、悪評を必死にばら撒くそれに只管その幸せを願い反応を返さず(反応すれば抵抗と受け取られるから)、気持ち悪い気色悪いと罵倒された。



どこにも落ち着ける場も無く、心身共に疲れ果てほぼ放心状態となった。
どう在っても変わらず続けるそれに何も感じなくなっていった。


家でも、学校でも、街でも…全て同じ……

全てが――『絶望』以外の何物でもなかった


/ 5286ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp