第60章 穏やかな日常
それも仕方ない…
自分を大切にせずとも生きてきた経験、環境…
それらが長過ぎたが故に、普通となってしまった。
だからこそ…今、世間の普通と食い違ってしまっている。
フィン「頷)ああ…
考えてもみてくれ。
されたら…どう思う?」
ケイト「…←想像する
嫌だ!
絶対嫌だ!!」
フィン「だろう…?
自分の為に死んだとなれば嫌だろう。
君を大切に想う残された側も嫌だろう。胸が張り裂けそうになる。
中には助かった人を責める人も出るかもしれない。
そして傷付き合う連鎖が始まりを告げてしまう」
ケイト「!!」
フィン「だから……何があってもしないで欲しい。
何より…死なれたら、痛い。
遺された側の気持ちは…もう、痛いほどに知っているだろう?」
ケイト「……うん」俯&涙
フィン「自らでさえも自らを傷付け、殺し、他を何よりも尊重する。
そうすることで…君は『傷付けられるのが普通としなければ耐えられない環境』を耐え、乗り越えてきた。
乗り越える為、精神を防衛する為にその選択を取った。
けれど今は…そんな環境ではない。
だと言うのに、普通がそれになってしまっているから…
それを幾度となく繰り返してしまう。
大切に想う人を、自らが大切に想う人をも傷付ける行為だと知らないまま…
それが、君の悪癖だ」
ケイト「時間かかると思うけど…いい?」
フィン「ああ…付き合うよ」
ケイト「本当に…言ってくれる人で助かった…
気付かせてくれて…ありがとう」
フィン「きちんと見てくれ。
僕は…君に庇われて、君が死に掛けた時…
僕の命と引き換えにしてでもいいから死んで欲しくないと思った。
その時点で…わかるだろう?
それまでがその期間が長過ぎたから…仕方ないとしても……
耐えられないし、何より…やり切れない…
その認識を覆せなかったことが――とてもやるせない」
ケイト「……わかった…
ありがとう^^
もう…違うんだね……(頭を上げ切なげに遠くを見つめる)
頑張って、身に付けないと!」ぐっ!←拳を握る
フィン「気付きを得る為、周りがある。
と言っても…それも人や環境が違えば、普通や常識も変わってしまうけれど……
何より自分を第一に大切にすること。
生きていなければ、守りたいものすら守れないのだから」