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Unlimited【ダンまち】

第59章 承継人





今一言わんとすることがわからず首を傾げた。



フィン「………

君は…ちゃんと知っている……


だからこそわかるはずだ。大切なものが何なのかを…

本当に大切にすべきものを。



それが…彼と君の、大きな違いだ。

君は、全てを見据え…大切にすることを選んだ。
殺そうと心がいくら願おうとも、魂だけは決して赦さずに止め、揺るがなかった。

彼は心が願うままに殺した。
それに疑問も感じず、周囲から指摘も得られず、問題と捉えることも一切ないまま進み続けている。


心が壊れるほど、感情が消え去るほどの苦難を…苦痛を、果てを知らない絶望を…彼は知らない。

だからこそ…気付かない。



世界の中で、優しさが、誠意が、どれほど貴重なのかを。

身近にあるそれがどれほど重いものなのかを。
どれほど必死になって、死に物狂いで守らなければならないものなのかすらも。

どれほどの人が持たず、横暴に、傲慢に振る舞い続けているか。
都合のいい人しかおらず、見た目上いい人しかいない世界では決して得られはしない。


パンツ一丁で走り回る行為はわいせつ物陳列罪に該当し
未成年の場合少年法第二十四条が適用され、逮捕された後で少年院に行かされることになる。
だというのに普通に学校に通い続けていられる。

その現実すらもまた当然というかのように彼は甘受し続ける。


全て自分の理想通り、死ぬことも無い。絶望などほぼほぼない。都合よく回り続ける……



そんな中で得られるものなど、数えられる程しかない。



生き返る人など、死なない人などいない。
その残酷な現実に直面したことも無い人に…人の重みなど理解もできるはずがない。


命も、経緯も、傷跡も…その全てをひっくるめて、個を持った人という存在となる。

この世に一人しかいない、唯一の個に。



どれほどの穢れを受けようと、受けてもなお…純粋に相手を想える存在は…君が初めてだ。

自分がいい思いをする為に人に優しく在ろうとする打算的なそればかりだった…
だが、その経験があってこそ…君がより一層愛しく感じて仕方がない(ぎゅうっ)←ケイトを抱き締める


だから…あんなものにまで縛られるのはやめてくれ」←縋るようにケイトの双眸を見る

ケイト「……うん…わかった」

椿「うむ」頷

アイシャ「ああ…お前がいれば、それでいい」


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