第59章 承継人

ケイト「…非難されることを覚悟の上で言ったんだけれどなあ…；」

椿「で…アイシャとやら。
お主はあいつに100点満点中何点付ける？」

アイシャ「10点だ」

椿「10点か…もう少し高く見積もると思っておったが…

まあ現実の残酷さに揉まれたことも無いわけだし、妥当という所か？」

アイシャ「低く見積もってはいるけどねえ…

結局は自分が一番大事な独善的野郎さ。それも自己中な。


本当に人が大事だから動いてるのなら、人の為に日常的に修業をするさ。
だが実際の所、自分の時間を割きやしない。それよりも自身の平穏な生活とやらを取る有様じゃないか。

修業などやりたくないの一点張り。
その割に傷付けたくない殺したくない守りたい。

ただ自身の思う理想、それも感じる我が儘を口にするだけ、口先だけのいけ好かないガキさ」


ケイト「う～む…そういう見方もあるのか；（腕組）

てっきり、もっといい点を見ろって言われるものだとばかり；」

椿「いい点？どこにだ？」怪訝

アイシャ「何をいい点と捉えるかは人によって変わるだろうねえ。

薄っぺらいだけの奴さ。
苦悩も何もない、過去に心の傷を持たない、人に求めるばかり…敵や人に厳しく、自分に甘過ぎる。


軽く、薄っぺらく、容認する周囲に甘え、都合よく現実は進んでいく。

そして自身のその場限りの表面上だけの優しさ、それも言動全てが慈悲深い優しさと受け止められる。
生温い環境で厳しさを得ることも無く直面したことすらも無い。

群れなければ何も出来ない。
いつも群れて自身を否定する者から護ってもらって…
擁護されるのも持ち上げられるのも当然と受け止めて、決断すらもまともにできない……

随分と甘っちょろい人間じゃないか。


群れることすらもできて当然だと思っているんだからね…
変わらないのが凄いことだと最後に書かれちゃいるけれど…

十二分に変わっているじゃないか…
『人を自らの手で殺しておいて何も感じず、苦悩も懊悩すらもしない。過去に戻って本人を前にしても未来で殺したことへの動揺も罪悪感も良心の呵責すらも一切ない』という一点のみ。


善人とは…一体何なんだろうね」遠い目


フィン「それは…人によって変わるものだよ」

ケイト「だよね…

そこが難点というか；
どこからどこまで善とするか…その基準も人によりけりだし」