第58章 堕天
ケイト「うん…わかった……」ぐすっ
その後…泣き止んでから後でケイトは教えてくれた。
その前に妊婦なのだから安静にしてくれと釘を刺し、納得がいかないという顔をされたわけだが。
ケイト「もし殺せば、世界は破滅する。
怒り狂った精霊王の手によって、世界ごと消滅させられる。
アルルェーチェとは、精霊王の冠名。
すなわち精霊王を意味する言葉でもある。
だからこそ…怪人のレヴィス?は撤退を選んだんだと思う。
ヴァレッタに釘を刺してたらしいし」
フィン「?どういう?」
ケイト「闇と一つになったことで、その記憶が垣間見えたんだよ」
フィン「…(顎に手を当て考え込む)
なるほどね…(片目瞑る)
早い話が、レヴィスの闇もまたその中にはあるというわけか…世界の闇として」
ケイト「…ああ。
この世界ができる前の世界のそれも、込みでね…」
フィン「なるほど…強烈過ぎたからこそ、か。
始祖神よりも、始祖神の闇よりも…
それでも……
殺さずを貫いてくれた、必死に抗い続けてくれた…
そもそもが精神力が強過ぎるからこそ、君が選ばれたのかもしれないね」くす
ケイト「…この呪い(精霊王の半身、不死の呪い)を解く方法は…本当は、わかってる。
結界にとりこまれればいい。←1863~1871ページ参照
そうすれば…誰も…痛い思いをしてまで生かされなくて済む。
全部…無駄にならなくて済む。
それ以外の方法を見つけたかった…それでも、死ねなかった。
不治の呪いも、全然駄目だった。
世継ぎを産む前だと…パラレルワールドの自分でもダメだった。
死ねなかった。必ず死ぬ魔法であっても…←997ページ参照
本当は、詠唱の長さで仮死状態の長さなんて変わらない…
仮死になんて絶対ならない、死ぬ以外ないのに…
もう…方法はあれしか残ってなかったのに…その希望も絶望に変えられた。
こんな呪い…要らないのにっ」ひっく&ぼろぼろ
再び泣き崩れるそれを前に、生きることが死ぬことよりも苦しいことを切実に訴えかけているように見えた。
言葉よりも…言動で……
それまでの哀しみも、苦しみも、痛みも…その全てが死を望む程に――