第57章 追憶
ケイト「でも…ないとは
フィン「ああ。言い切れない。
それでも…僕は変わらず聞くし、寄り添い続ける。
それじゃあ…足りないかな?」苦笑
ケイト「っ!(瞠目)
全然…
(絶望以外なかった――
そのはずだった――
だけど――今、目の前にいる)
私…言葉に、うまく起こせないよ?」
震えながら…言葉は嗚咽と共に絞り出された。
それは拒絶への恐れ…思念伝達魔法によるそれで、すぐ伝わってきた。
無意識のようだが…その繋がっている感覚が、どこか心地よくもあった。
独りにさせないで済む。
ちゃんと、ケイトのことを感じて…理解することが出来る。
そのことに、喜びすら感じていた。
フィン「ああ…
激情に振り回されている時は、うまく言葉が回らないものだろう?」
ケイト「泣き叫ぶだけしか出来ないけど…いい?」
フィン「勿論」
微笑みかけながらゆっくり頷いた。
ケイト「っっ;;」
フィン「いつでも傍に居れるわけじゃない…
それでも…僕はいつでも付き合うよ。
時間さえ合えば、それこそいくらでも。
気兼ねしないでいいんだ…僕達は、夫婦なんだから」微笑
ケイト「ぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああああああああああああ」
フィン「好きなだけ泣いたらいい…
せめて…僕の前では、感情に…心に、蓋をするのはやめてくれ。
君が…僕へそうしてくれたように」なで
憎悪が増した。怨恨が増していくのを感じた…
悪という虚像の押し付け、異常なまでの執着…それをし続け、心を壊し、感情を壊し…
更には蘇りかけた心までをも闇派閥と結託して奪い、殺し…
再び壊すと共に…今度は感情や心はおろか、記憶さえをも奪った……
ケイトに精霊が宿っていなければ――間違いなく、彼女は死んでいただろう
それを自覚するほど…彼女の闇を理解するほどに……
怒りが増して仕方がない。憎悪が増して仕方がない…
僅かに生き残ったまともな人、闇派閥と関わりなく過ごしており、保身の為に無視に走った人達は…
王位にも在住にも執着せず、止められなかった、彼女を助けられなかった詫びを送り付けてきた。
送らない者も居たが別に気にしていない。
異常だと認識できる人がいただけ十分だとも言えるだろう。
そして…――処刑した←973~976,1018ページ参照