第57章 追憶
駄々っ子
ケイト「やだやだやだやだやだああああああああああああああああ!!!;」
そう比喩できるほどの行動を目の前で示し続けていた。
数分前――
フィン「今日は休日だね…」
ケイト「うんうん♪何をしようか?」
フィン「ンー…(顎に手を当てつつケイトを見やる)
そうだね…
服を買いに行こうか」
ケイト「おお!いいね!(キラキラ&微笑)
所で誰の?
やっぱりアルとディとフィン?^^」にこにこ&るんるん
フィン「君だよ」
その言葉が響いた次の瞬間、弾かれたようにケイトは動いた。
仰向けになり叫びながら駄々をこねだしたのだ。
ケイト「やだやだやだやだやだああああああああああああああああ!!!;」
フィン「……はあっ;(二度目の嘆息)
やれやれ…;(眉顰め)
買って欲しいものをねだる為にするのなら、まだわかるのだけれど…(思案顔)
何故今になってこんなことを?;」怪訝
ケイト「そんなの買ったら殺される!!!!;」
半泣きしながら悲痛な叫び声が、鋭く耳を刺した。
誰に、と言われなくとも…すぐに察することが出来た。
生みの父から。
殺される方がマシだと言い切れるほどの圧倒的な痛み…
子は親の所有物とばかりに――意思も感情も心も、その全てを無視され、無下にされ続けた。
早い話が…そのDVの激化と同時期に行われたいじめのそれもタイミング悪く重なっていたこともまた、起因している。
それはケイトの心を、感情を、『怨恨(闇)』へと狂わせていた。
人は――『悪』だ
自らの固定観念を囁き合い、徒党を組み、独りに追い込み
無視されても仲間なら集中している時起因のそれだと赦すが、人のそれは全てワザとした行為だと事も無げに
自身の『意思』も、『心』も、『主張』も、『真実』も、された側の『感情』も、『何もかも』を全て無視し、都合の悪いそれは全て排斥し、固定観念を押し付ける。
徒党を組み、お前の味方など一人もいない、歩み寄ることも歩み寄られることも間違っている、という空気へと陥れ続ける。
そして独りきりの自分を囲み、そうしてきた本人達は幸せそうに笑い、青春を謳歌し、思うが儘に過ごし、独りの自分を見てはせせら笑う。
――『悪魔』だ
人の何もかもを顧みず、皆で一人を追い込み疑念も感じぬそれは…まさにそれだった。