第44章 出産後
実在する英雄、道具等の写真をカードとし、手持ちの手札をもとに戦うゲームが有名になっていた。
カードは書店にて1パック30枚を100ヴァリスで販売されており、買ったカードを携帯に重ねることでスキャンされ、手持ちのカードとして人も道具もまるでその場に実在しているかのように表示がいつでも可能となる。
一度重ねたカードは他の携帯でもスキャンは不可能になり、記念として残している者もいる。
多人数でも協力プレイができ、多種多様な陣形もまた生まれつつあった。
今日日において、冒険者の分はまだ大規模ファミリアの主神と幹部までしか行き渡っておらず、他は後回しにされており知る人は非常に少ない。
ちなみに、アミッドが言っていた通信機(1597ページ参照)は言わずもがな、この「携帯」のことである。
しかし、ゲームを純粋に楽しむ人達の裏で「コレクター」なる存在もおり
ファンクラブ会員の中には、挙って当たり(望むキャラ)が出るまで買い続ける人もまたいた。
その中には…例の人は漏れず、ケイトまでもがそれになりかけていた。
というより…以前からなっていたといった方が正しいだろう……;
ケイト「フィンの…」わなわな震
『?;』
ケイト「フィンの…出たああああああああああああ!!!!」
携帯を諸手で抱き、それを天へ掲げながら叫んでいた。
ティオナ「え?欲しいカードが出たの?」
ケイト「違う…
新たな、新着、カードで!!
販売日は、明日!!16時!」←作者マイページ画像参照
ティオナ「あのー、ケイト?;目が変になってるよ?;」
ケイト「新着お知らせで!明らかになったんだ!!
是が非でも当ててみせる!!全財産を投資してでもおおおおお!!!」だっ!!←立ち上がって走り出そうとする
『やめろ!!』
リヴェリア「落ち着け!!」
フィン「速まるな!!!」
ケイト「止めるなああああああああああああ!!!」
てんやわんやの騒動に至るまで、先行画像を見てそう時間はかからなかった。
フィンから羽交い絞めにされ、周囲から皆総出でベッドへ押し倒される中、なおもケイトは暴れ続けていた。
まるで――ドラッグやタバコや酒に依存する患者が、それを絶った際に強く望む時の如く。