第42章 伝説
豊饒の女主人
?「彼女は走った。
走って走って、走り続けた。
記憶を失い、奪われ、何もかもを無くした彼女は…
己の身に宿る精霊に促されるままに、着の身着のまま走り続けていた。
アルブ山脈を抜け、セオロの密林を走り去り
迷宮都市、オラリオへ向けて。
3日3晩をかけて…彼女はたった一人で走り抜いた。
彼女の中の精霊は言った。冒険者になれと。
そして…自分を持ち、大切なものと会えと…」
そこでは、椅子に座って机の上に本の角を置き
両手で持った本の内容を、声に出して読み上げていた。
シル「それがフィンさんなんですね。
ベルさん」微笑
ベル「はい!//
あー、カッコいいなああ!//」にこにこ&だきっ!
先程まで読んでいた本を抱き締めながら、頬を赤く染めて高揚したように叫んでいた。
リリ「あのですね。ベル様。
そんなに繰り返し読まなくてもいいとリリは思います。
ホームでも読んでいるし、ウィーネ様にも読み聞かせていたではないですか!
書かれている内容までは変わってないでしょう?」
ベル「いやあ。最新号が出たから、つい^^//;」
リリ「もっと別のことに目を向けるべきです。
テイムモンスターの扱いがよくなったこととか、空中都市とか、音速飛空艇とか!
ウィーネ様をテイムモンスターとして登録できたのは、ケイト様の功績のお陰でもあるのですよ?」
ヴェルフ「音速飛空艇か。
あのワイバーン凄かったな。遠目に見てたが」
ベル「ああ、うん!
凄く速かったよね。一瞬で見えなくなって」
ウィーネ「うん、とても、凄かった」
命「会話ができるモンスターとして既にドン殿がいたので、それほど驚かれることもありませんでしたね」
春姫「正確には筆談、でしたか?」
リリ「はい!(頷&微笑)
音速飛空艇のお披露目の際も、孤児院の子供達、外に出れない患者などを率先して試し乗りをさせていましたし^^」にこにこ
ヴェルフ「お前もちゃっかり乗ってたよな」
リリ「ヴェルフ様!?;」
シル「私も、孤児院の子供達の面倒を見ていたからという理由で乗せてもらっちゃいました^^♪」
ベル「遠征終わりにギルドへ寄ってから程なくして作って、その日の内に試し乗りなんて…
普通じゃまずできないよね」
『本当に』うんうん←揃って二度頷く