第38章 お手伝い
『……………・・』
ケイト「どしたの;鳩が豆鉄砲を食ったような顔して;」
フィン「…いや…驚いてね。
まさか君がそこまで考えてブレーキを掛けるなんて」
ケイト「へ?;」
アスフィ「そうですね。
後先考えず思いのままに突っ走るものだとばかり…
(はっ!)って違います!;待ちなさい!;
そこもまた驚くべき点ですが50億ヴァリスとは一体!?;」
ケイト「あー。大丈夫。
夫婦の共有財産には一切手を付けてないよ、誓って」両掌を前に差し出す
フィン「知ってるよ」頷
ケイト「このお金は私個人の資産の10分の1だよ。
私個人の貯金は503億ヴァリスぐらいあるし」←1322ページ参照
『!!!??』
ロキ「これでも半分ぐらい謝礼にうちに渡してこられたもんなあ;
ファミリアの共同資産っちゅうことで」
フィン「お陰で次の遠征の準備も滞りなく進められた。
おまけに…緊急馬車なんてものまで作り出して、『50階層から地上まで往復50分程度』という前代未聞の成果まで出したからね;」嘆息
ロキ「色んな意味で目ぇ付けられてもしゃあないわな;」
アイズ「とても楽になった」こくこく
アスフィ「しかし、それでも50億なんて!」
ケイト「それで助かる命があるんなら、それでいい。
50億くらい安いもんさ。
命は…失えば、二度と蘇らない。
それが世の常で、お金なんかじゃ買えない。
だから…せめて、手の届く範囲ぐらいは助けたい。
見えているのに、視えて聞こえてしまったのに…見て見ぬ振りをする輩になんて、成り下がりたくはないんだよ。
助けになれるのならなりたい。
押し付ける形になって…本当に済まないと思ってる。
でも…どうか頼むよ、アスフィお姉ちゃん」深々お辞儀
『………』
計画の発表と話を纏めていくだけだったはずが、違う方へと転んでいった。
しかし…ケイトの言わんとすることもわからないでもない。
誰も助けてくれなかった。
それが彼女の境遇であり、だからこそ共感してしまうのだろう。
その痛みを知るからこそ、その人災によって散々に甚振られ、苦しまされてきたからこそ…
だからこそ、僕は…その彼女の意見を否定などできない。
ましてや…それを咎めることさえも……
何故なら、それは彼女そのものでもあり…彼女が彼女であるが故とも言える在り方だから――