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小話【気象系BL短編集】

第88章 頬を抓れば、すぐに分かる  弐




side.O


俺の仕事の道具と、潤の服を見て回って。
いつものように食べて呑んで、寄ってかないと言って家にあげてくれた。
途中コンビニで下着とメイク落としを買って、一番風呂をもらっちゃったりした。


風呂から上がった潤に、ヒールで脚が痛くなっちゃった、と素直に打ち明けた。
呆れられるかと思ったけど、マッサージしてくれて、湿布までくれた。
ありがと、と礼を言うと、どうしてか潤が急にヘンな顔になる。
それでもイケメンだからすげぇけど。

こういう表情って珍しいなぁ、と眺めてみる。
すると、潤が目を逸らし口元を手で覆った。
あーとか、うーとか。くぐもった声が聞こえてくる。
何か言いたいってことだけは分かった。
暫くそんなカンジで、踏ん切りがついたのか、俺と視線を合わせて口を開く。



「さ、智さん………あの、さ。キスしよ」


いいことを思い付いたように、潤がはにかんで言った。
そういう表情もかわいいっていうか堪んないけど。
けど、でも、さぁ。
コイツ、俺が好きだって告白したの忘れてんじゃねぇか?


ふと、ニノに連絡を取りたくなった。
どうすんですか、せんせーって。教えてくださーいって。
それと同時に、少しはイイ思いをしても良いんじゃないか、なんて思った。


だって、好きなんだ。妙なとこで天然の入ったこの後輩が。
潤のことが、好きで仕方ないから。
流されて後悔するのを想像したところで、それはブレーキにはならないのだった。





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