• テキストサイズ

小話【気象系BL短編集】

第78章 defender








楽屋のドアがいきなり開いて、若干、雑に閉められる。
入ってきたリーダーは俯いたま、足元を見つめてるようだ。

ヘンな雰囲気で挨拶しづらいから、様子見をしようと思った矢先。
泣きそうに、悔しそうに、唇を噛み締めるのが見えて動揺した。
こんなとこ、初めてだ。誰の所為だろうってイヤな気分になる。
それとなく聞き出したいな、なんて口を開きかけて。
丁度、そのときだ。



「やっぱ………俺、いらねぇじゃん」


吐き捨てる乾いた声を、聞いちゃった。聞いてしまった。
ばさり、と読んでいた漫画雑誌が滑り落ちる。ばちり、目線がぶつかる。
この瞬間オレに気付いたあなたは、心底しくじった、という顔をした。


「ぁ、わりぃ。おはよ、相葉ちゃん」

「ちが……違う、謝んないで。悪いこと、してないもん」


おーちゃん、とそっと呼びかける。
オレのが泣きそうで、何だかおかしかった。
あなたが咄嗟に作った笑顔は、こっちから見ると痛ましい。
原因はどいつだろう、と珍しく腹が立ってるのが分かる。

居ても立っても居られず、席を立って足早に近付く。
けど頭がよくないオレだから、何と言えば良いのかが分からない。
でも必要なんだと伝えたくて、ぎゅっと腕の中に閉じ込めた。
身じろぎするリーダーに思わず、安心してほしくなって頭を撫でてしまう。
アレ可笑しいな、とは感じたけども、少しは伝わるかもしれないと思い直す。

あなたがいなきゃ駄目だって。大切な宝物なんだって。
否定するかもしれないけど、オレらにとっては事実なんだ。



/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp