第67章 過ちを文る
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言葉にしなきゃ伝わらない、と。
何かあったとき、あなたはそう言っていたね。
優しさというのは。優しくするというのは。
もしかすると臆病の成分が入っているのかもしれない。
確かに、好意や愛しさや慈しみだってあるだろう。
しかしながら、それらだけで人間は出来上がっていない。
人並みに年を重ねれば、無垢ではいられないんだ。
純真なままでいるのは可能かもしれないけど。
清濁併せ吞む器を持つひとだと知っている。
けど、ねぇ。
色恋は必ずしも理屈で解決が出来るとは限らない。
そもそも、芸術家肌だからね。
ジレンマに矛盾に板挟み。苦手なトコじゃないかな。
好きならそう言わないと、いつまでも変わらないんだよ。
じれったいね、何も出来ないって。
願わくは、彼らが幸せになれますように。
二人ともが傷付かない結末が、訪れますように。