第47章 2018/0214
「笑って、る?ウソだ。あ、えっと。待って、オレ!」
「ふふふ……かわいーのな、相葉ちゃん」
「へっ!?おーちゃん、その……嫌じゃないの?」
男に食べたいとか、おいしそうとか、ラブだなぁとか。
お馬鹿なオレの口は、要らないことを更に零してしまった。
自分でも分かるくらい、顔から熱が消えていく。
さぁっと血の気が引く。
どうして、こんな日に。なんてバカなんだろう?
「………食べられるから、食べさして?」
「何、言ってるの……オレのこと、気持ち悪くないの?」
「相葉ちゃん好きだぞ?”下”になってやれるくらい、ね」
慌てるオレとは真逆で、大野さんはいつも通りだった。
けど、それだけじゃない。
その声の甘さを、毒っけのある笑顔を、特別に感じちゃう。
こんなひと、知らない。固まっちゃう自分も、知らない。
かちかち、秒針の音が響く。そして、数十秒が経って。
向かい側から手が伸ばされ、指先で口元を拭われる。
驚いて、でも固まったまま動けない。
そんなオレを尻目に、リーダーが悪戯っぽく微笑む。
とてもとても、綺麗に。
「食べて良いから、相葉ちゃんのことも食べさしてよ」
まるで魔法みたい。その瞳も、笑顔も、触れてくる手も。
オレは簡単に虜になって、大きく頷いた。
初めての本気のキスは、ぬるいチョコレートの味だった。